
こんにちは、あるいはこんばんは。一匹兎(@pepeopecn)と申します。
元々手術室で看護師として働き、現在は大学で教員をしています。
実習を見ていると、
「一生懸命やっているのに、振り返りになると急に内容が薄くなる学生」
「出来事は書けているのに、学びとしては深まりにくい学生」
がいます。
実習では、行動そのものだけでなく、実習を通して何を見て、どう考えたかも大切です。
そのため、振り返りが浅くなりやすいと、実際には頑張っていても、学びが十分に伝わりにくいことがあります。
今回は、実習で振り返りが浅くなりやすい学生は何が違うのかについて、学びが深まりにくい理由という視点から整理してみたいと思います。
実習では「何をしたか」だけでなく「どう考えたか」も見られている
実習では、行った援助や見学した内容を書くことも大切です。
ただ、それだけでは振り返りとしては浅くなりやすいです。
なぜなら、実習で本当に見たいのは、
- その場で何を見たのか
- なぜそれが気になったのか
- そこから何を考えたのか
- 次にどうつなげるのか
という、出来事の先にある考え方だからです。
つまり、振り返りでは「今日は何をしたか」より、その経験をどう意味づけたかが大切になります。
振り返りが浅くなりやすい学生は、出来事の記録で止まりやすい
振り返りが浅くなりやすい学生を見ると、実習で何も見ていないわけではありません。
むしろ、出来事自体はそれなりに書けていることも多いです。
たとえば、
- 見学した内容
- 実施したケア
- 指導者に言われたこと
- 患者さんの様子
などは書けています。
ただ、そのあとに
- なぜそう感じたのか
- どこが分からなかったのか
- 自分は何を見落としていたのか
- 次に何を意識するか
まで進みにくいと、どうしても「出来事の報告」で止まりやすくなります。
記録の項目に、
「具体的に」と書かれている事はありませんか。
まさにその通りで具体的にの部分が上記の様な部分を書くように意識するだけでもだいぶ違ってくると思います。
「正しいことを書こう」としすぎると、振り返りは浅くなりやすい
振り返りが浅くなる理由の一つに、正しいことを書こうとしすぎることがあります。
実習では評価を意識するので、
- 間違ったことを書いてはいけない
- うまくまとめなければいけない
- 先生に変に思われないようにしたい
という気持ちになることがあります。
その結果、自分が本当に迷ったことや分からなかったことよりも、
無難で正しそうなことばかりを書いてしまい、内容が浅くなりやすいです。
でも、本来の振り返りは、最初から正解を書くためのものではなく、
自分の理解の不十分さや迷いに気づくためのものでもあると思います。
正しいことを書くことを求めているわけではありません。
(もしかしたらそんな教員もいるかもしれません)
一番は学生自身がどこまで考えているのか、といった部分をいかに伝えることが出来るか、だと思います。
振り返りが深まりにくい学生は「なぜ」を置き去りにしやすい
振り返りが深まる学生は、出来事のあとに自然と「なぜ」を考えています。
- なぜその患者さんは不安そうだったのか
- なぜそのケアが必要だったのか
- なぜ自分はその場で迷ったのか
- なぜ指導者はそのように声をかけたのか
一方で、振り返りが浅くなりやすい学生は、出来事を書いたところで止まり、
「なぜそうなったのか」 に進みにくいことがあります。
そのため、文章量があっても、学びとしては深まりにくく見えることがあります。
実習中に「気になったこと」を残せていないと、振り返りは浅くなりやすい
振り返りは、実習が終わってから急に深く書けるものではありません。
実習中に何を気にしていたかが残っていないと、どうしても表面的なまとめになりやすいです。
たとえば、
- どの場面で違和感を持ったか
- どこが分からなかったか
- 何をもっと見たかったか
- どの説明が印象に残ったか
こうしたことがメモや記憶に残っていないと、あとで振り返るときに
「今日はこういうことを学びました」
という一般的な文章だけで終わりやすくなります。
何を書けば良いのか分からなくなると思います。
そこで一番に思うのは、自身がどんなことを思っていたのかまずは素直に書いてみることが一番大事と思います。
私が実習記録や振り返りを見ていて感じること
私は大学教員をしているので、実習記録や振り返りを見る機会があります。
その中で感じるのは、振り返りが深まりやすい学生は、特別に文章がうまいというより、自分が分からなかったことや気になったことを、そのままにしないことが多いという点です。
逆に、振り返りが浅くなりやすい学生は、実習中に感じていた違和感や迷いを、自分の中でうまく拾い直せないことがあります。
実習の振り返りは、立派なことを書くことより、自分が何を見て、どこで止まったのかを言葉にすることの方が大切なのではないかと思います。
手術室実習では、振り返りの浅さが少し違う形で出やすい
手術室実習では、病棟実習のように学生が直接できる行動が限られることがあります。
そのため、振り返りも少し違う難しさがあります。
たとえば、
- 手術の流れを見ただけで終わる
- 器械やスタッフの動きに圧倒される
- 患者さんへの視点が抜けやすい
- 分からないことが多すぎて整理しきれない
といった形です。
その結果、振り返りでも
「手術の流れを学んだ」
「清潔・不潔が大事だと思った」
で止まりやすくなります。
もちろん、それ自体は間違いではありません。
ただ、もう一歩進めるなら、
- どの場面でそう感じたのか
- 自分は何を見落としていたのか
- 患者さんの視点ではどう見えたのか
まで考えられると、学びが深まりやすいと思います。
振り返りが深まりやすい学生は、完璧な文章より「具体」と「自分の迷い」がある
振り返りが深まりやすい学生は、必ずしも最初からきれいな文章を書ける学生ではありません。
むしろ、
- どの場面で迷ったか
- 自分は何を見落としていたか
- 何が分からなかったか
- 次は何を意識したいか
が具体的に書ける学生の方が、学びが伝わりやすいです。
実習の振り返りは、完成されたレポートより、学びの途中経過が見える文章の方が価値があることもあります。
振り返りを深めるために意識したいこと
振り返りを深めるためには、文章力そのものより、振り返る視点を持つことが大切です。
たとえば、
- 今日は何が一番印象に残ったか
- どこで迷ったか
- 何が分からなかったか
- その場面で患者さんはどういう状態だったか
- 次に同じ場面があれば何を見たいか
といった視点です。
こうした問いを一つずつ考えるだけでも、振り返りはかなり深まりやすくなります。
まとめ
実習で振り返りが浅くなりやすい学生は、何も考えていないわけではありません。
ただ、
- 出来事の記録で止まりやすい
- 正しいことを書こうとしすぎる
- 「なぜ」を考える前に終わってしまう
- 実習中の違和感や迷いを残せていない
といったことが重なると、どうしても学びが深まりにくく見えることがあります。
実習の振り返りでは、立派なことを書くことより、
自分が何を見て、どこで迷い、何を次につなげたいか を整理することの方が大切だと思います。
振り返りが浅いと感じるときは、文章力だけを責めるのではなく、
実習中に何を拾えていたか を見直してみることも必要なのではないでしょうか。
関連記事
実習で評価されやすい学生の特徴を、手術室実習の文脈から整理したい方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。
▶ 手術室実習で評価されやすい学生は何が違うのか
実習で報告・相談が遅れやすい学生の特徴を整理したい方は、こちらの記事も参考になるかもしれません。
▶ 実習で報告・相談が遅れる学生は何が違うのか
手術室実習の前に、そもそも何を見ればよいのかを整理したい方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。
▶ 手術室見学で何を見ればいい?