【看護診断】NANDA-I「North American Nursing Diagnosis Association International」についてまとめてみた。

【看護診断】NANDA-I「North American Nursing Diagnosis Association International」についてまとめてみた。

こんにちは。一匹兎(@pepeopecn)と申します。

この記事では看護診断を出す時に使用される、NANDA-Iについて詳しくまとめてみました。

是非参考にしていただければと思います。

また、この記事ではNANDA-Iを使用して手術看護に応用できないかを考えてみました。

こんなやり方があるよ、などご意見ご感想があればぜひ教えて下さい。

この記事の内容
・NANDA-Iについてのまとめ
・NANDA-Iを手術看護に応用する場合

NANDA-Iとは

概要

NANDAは「North American Nursing Diagnosis Association」の略称で、看護診断の標準化を目的として1973年に設立されました。現在はNANDA InternationalNANDA-I)と呼ばれており、看護診断の開発と普及を国際的に進めています。NANDA-Iの看護診断は、看護師が患者の健康状態を評価し、適切な介入を計画するための基盤を提供するツールです。

NANDA-Iの歴史

☆創設(1973年)

NANDAはアメリカで看護診断の標準化を目指して設立されました。当初は看護師間の統一された言語を確立することが目的でした。

☆初期の発展(1973年~1980年代)

1977年に最初の看護診断リストが発表されました。初期の診断は限られた数でしたが、患者ケアの多様性に応じて徐々に増加していきました。

☆国際的な展開(1990年代~)

1990年には「NANDA International」に改称し、国際的な枠組みで活動を開始しました。これにより、看護診断の標準化が世界中に広がりました。

☆現代の発展(2000年代~現在)

NANDA-Iは定期的に改訂されており、現在では250以上の診断項目が登録されています。診断は科学的根拠に基づき、エビデンスに応じて見直されています。

NANDA-Iの目的

看護診断の標準化

統一された看護診断のフレームワークを提供し、看護師間での共通言語を確立する。

患者ケアの質の向上

診断を基にした適切な介入計画を通じて、患者の健康状態を改善する。

看護師の専門性向上

看護診断を活用することで、看護師が独自の専門的役割を果たせるよう支援する。

研究と教育の推進

看護診断の実践と理論を結びつけ、エビデンスに基づく看護を促進する。

NANDA-Iの構成要素

NANDA-Iは、以下の3つの主要な要素を基盤としています。

  1. 診断名

患者の健康問題やリスクを簡潔に表す標準化された言葉。たとえば、「不安(Anxiety)」「慢性痛(Chronic Pain)」などがあります。

  1. 定義

診断名の意味を明確にし、その診断がどのような状況を指すのかを記述します。

  1. 特徴(診断指標)

診断を下すための根拠となる観察可能なデータや主観的な症状。これには、患者の発言や看護師が観察した事実が含まれます。

NANDA-Iの診断分類

NANDA-Iの看護診断は、大きく以下の3つに分類されます。

  1. 実際の看護診断(Actual Nursing Diagnosis)

患者が現在経験している健康問題を指します。例えば、「急性疼痛(Acute Pain)」や「栄養不足(Imbalanced Nutrition)」など。

  1. リスク診断(Risk Nursing Diagnosis)

患者が将来的に経験する可能性のある健康問題を特定します。例えば、「感染リスク(Risk for Infection)」などがあります。

  1. 健康増進診断(Health Promotion Diagnosis)

患者が健康を改善し、生活の質を向上させるための行動を取る意欲を示します。例えば、「健康管理の向上(Readiness for Enhanced Health Management)」など。

 

NANADA-Iの看護診断領域

領域1:ヘルスプロモーション

領域2:栄養

領域3:排泄と交換

領域4:活動/休息

領域5:知覚/認知

領域6:自己知覚

領域7:役割関係

領域8:セクシュアリティ

領域9:コーピング/ストレス耐性

領域10:生活原理

領域11:安全/防御

領域12:安楽

領域13:成長/発達

の13領域に分類されている。

 

NANDA-Iのメリット

看護実践の標準化

NANDA-Iの最大のメリットは、看護診断の標準化にあります。これにより、看護師間で共通の言語が使用され、患者の状態を的確かつ迅速に把握できるようになります。標準化された用語は、記録の正確性を向上させ、チーム間での情報共有をスムーズにします。

看護の専門性向上

看護診断を使用することで、看護師は医療チームの中で独自の役割を果たしやすくなります。NANDA-Iは、看護師が患者の全体的なケアニーズを評価し、医学診断では見逃されがちな健康課題にも焦点を当てることを可能にします。

患者中心のケア促進

NANDA-Iの診断は、患者の身体的、心理的、社会的、精神的側面を包括的に評価することに重点を置いています。その結果、患者中心のケアを提供する基盤が築かれます。

エビデンスに基づいたケアの推進

NANDA-Iの診断は、最新の研究成果やエビデンスに基づいて定期的に更新されています。これにより、看護師は科学的根拠に基づいた適切なケアを提供することが可能です。

教育とトレーニングの質向上

NANDA-Iは看護教育においても重要な役割を果たします。看護学生は標準化された診断を学ぶことで、臨床現場での実践力を向上させることができます。また、NANDA-Iは新任看護師の教育やトレーニングにも役立ちます。

多職種連携の強化

NANDA-Iを使用することで、他の医療職種との連携が容易になります。共通のフレームワークを持つことで、医療チーム全体の協働が促進され、患者ケアの質が向上します。

 

NANDA-Iのデメリット

個別性の欠如の可能性

標準化された診断用語は便利である一方で、個々の患者の状況や文化的背景を反映しにくい場合があります。一部の看護師は、診断が画一的すぎて患者のニーズに十分に対応できないと感じることがあります。

複雑さと学習の難しさ

NANDA-Iの看護診断は非常に詳細であるため、特に初心者にとっては理解や適用が難しい場合があります。複雑な分類や専門用語に慣れるまで時間がかかることもデメリットの一つです。

臨床現場での適用の難しさ

忙しい臨床現場では、NANDA-Iの診断を適切に適用する時間が十分に確保されないことがあります。また、実際の患者ケアでは、NANDA-Iの診断がすべての状況に適合するわけではありません。

診断の主観性

NANDA-Iの診断は患者の主観的なデータに基づく場合が多く、看護師の判断によって診断が異なる可能性があります。この主観性は診断の信頼性に影響を与えることがあります。

医療現場での認知度のばらつき

医療機関によっては、NANDA-Iの認知度や使用頻度が低い場合があります。そのため、看護師がNANDA-Iを活用しようとしても、他の医療職種や上司から十分なサポートを得られない場合があります。

継続的な更新と教育の必要性

NANDA-Iは定期的に改訂されるため、看護師は新しい診断や変更点を継続的に学習する必要があります。これには時間と労力がかかり、教育の負担となることがあります。

 

NANDA-Iを活用するための提案

継続教育の実施

定期的なトレーニングやワークショップを通じて、NANDA-Iの使用方法を学び、実践に活用するスキルを向上させる。

現場での柔軟な適用

NANDA-Iの診断を現場の状況や患者のニーズに合わせて柔軟に解釈し、活用する。

多職種間の連携強化

医療チーム全体でNANDA-Iの概念を共有し、看護診断の有用性を高める。

電子記録との統合

NANDA-Iを電子カルテに統合し、診断プロセスを効率化することで、現場での使用を促進する。

研究の推進

NANDA-Iの診断が患者アウトカムに与える影響についての研究を進め、エビデンスを蓄積する。

 

まとめ

NANDA-Iは、看護診断の標準化、患者中心のケア、看護の専門性向上など、多くのメリットを提供します。しかし、個別性の欠如や学習の難しさ、現場での適用の困難さなどの課題も存在します。これらの課題を克服するためには、教育や実践の場での工夫が必要です。NANDA-Iを効果的に活用することで、看護ケアの質をさらに高めることが可能です。

 

NANDA-Iの活用例

急性期病棟での活用

例1: 術後患者へのケア

術後患者が疼痛を訴えている場合、NANDA-Iの看護診断「急性疼痛(Acute Pain)」を適用します。以下のように進めます:

アセスメント:

患者の表情、姿勢、発言から疼痛の程度を確認し、痛みの位置や持続時間を記録します。加えて、痛みに伴うバイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸数)の変化も観察します。

診断:

「急性疼痛(Acute Pain)」と診断し、原因(術後の炎症や創部への圧力など)を特定します。

計画:

患者に疼痛緩和を目的としたケア計画を立案します。たとえば、薬物療法(鎮痛剤の投与)、温罨法、リラクゼーション技術などを組み合わせる計画を立てます。

介入:

鎮痛剤の効果を確認し、患者が楽な姿勢を取れるようにサポートします。また、患者に疼痛緩和のための深呼吸やイメージ療法を指導します。

評価:

痛みのスケールを用いて、介入後の痛みの程度を再評価し、ケアの効果を確認します。

 

例2: 呼吸機能が低下している患者

NANDA-I診断「非効果的呼吸パターン(Ineffective Breathing Pattern)」を適用し、呼吸リハビリテーションを実施します。

 

慢性期医療での活用

例1: 慢性疾患患者へのサポート

糖尿病患者が自己管理に苦労している場合、NANDA-I診断「不適切な健康管理(Ineffective Health Management)」を使用します。

アセスメント:

患者の生活習慣、食事、運動、血糖コントロールの状況を評価します。

診断:

「不適切な健康管理」と診断し、具体的な課題(例: 血糖測定の頻度不足、食事計画の不徹底)を明確化します。

計画:

看護師が患者と共同で目標を設定します。たとえば、「1週間以内に毎日の血糖測定を習慣化する」「食事記録をつける」など。

介入:

血糖測定方法を再指導し、食事や運動の記録をサポートします。また、患者が理解しやすい教材を用いて教育を行います。

評価:

血糖値の改善や患者の自己管理スキルの向上を確認します。

 

高齢者ケアでの活用

例1: 認知症患者の行動管理

認知症のある高齢者が混乱しやすい状況に対して、「混乱(Confusion)」や「不安(Anxiety)」の診断を使用します。

アセスメント:

認知症患者の行動パターンや環境要因を観察します。特定の時間帯や状況で混乱が増加する場合、その原因を調査します。

診断:

「慢性的な混乱(Chronic Confusion)」や「状況的な混乱(Situational Confusion)」と診断します。

計画:

患者が落ち着いて過ごせる環境を整える計画を立てます。たとえば、部屋をシンプルに整理し、家族写真や時計を配置して安心感を高めます。

介入:

短く具体的な言葉でコミュニケーションを取り、患者の行動に対してポジティブなフィードバックを行います。

評価:

患者の混乱が軽減されたか、生活の質が向上したかを確認します。

 

在宅医療での活用

例1: 独居高齢者の支援

独居の高齢者が孤独感を訴えている場合、「社会的孤立(Social Isolation)」の診断を使用します。

アセスメント:

患者の社会的なつながりやコミュニケーションの頻度を評価します。

診断:

「社会的孤立(Social Isolation)」と診断し、孤独感や孤立の原因を特定します。

計画:

地域の高齢者サポートプログラムに参加する、家族との連絡を増やすといった具体的な目標を立てます。

介入:

地域資源を活用して、患者がコミュニティ活動に参加するよう支援します。また、定期的な訪問や電話でのフォローアップを行います。

評価:

患者の孤独感が軽減されたか、社会的なつながりが増えたかを確認します。

 

精神科領域での活用

例1: 不安障害の患者への対応

精神科で治療を受ける患者に対して、「不安(Anxiety)」の診断を使用します。

アセスメント:

患者の主観的な不安感、心拍数や発汗などの身体的症状を確認します。

診断:

「不安(Anxiety)」と診断し、その程度(軽度、中等度、重度)を特定します。

計画:

リラクゼーション法の指導やストレス管理プログラムを計画します。

介入:

深呼吸や瞑想などのリラクゼーション技術を患者と一緒に実践し、不安を軽減します。また、不安の原因となる思考パターンを話し合い、患者が対処方法を見つけられるよう支援します。

評価:

不安症状の緩和や、患者がストレスの対処に成功したかを確認します。

 

小児看護での活用

例1: 発達障害児の支援

発達障害のある子どもに対して、「発達遅延(Delayed Growth and Development)」を診断します。

アセスメント:

子どもの身体的、社会的、言語的な発達状況を観察し、遅れが見られる分野を特定します。

診断:

「発達遅延」と診断し、特に支援が必要な領域を明確化します。

計画:

発達を促進するための活動を計画します。たとえば、療育プログラムへの参加や家庭で行う遊びの工夫を提案します。

介入:

両親や介護者に対して教育を行い、発達を支援するための具体的なアクションを提案します。

評価:

子どもの発達状況が改善されているかを定期的に確認します。

 

結論

NANDA-Iの看護診断は、急性期から慢性期、精神科、小児看護、在宅医療など、さまざまな医療現場で活用されています。その活用により、看護師は患者の健康状態を多角的に評価し、科学的根拠に基づいた介入を実施することが可能になります。これにより、患者の健康アウトカムが向上し、看護の質がさらに高まります。

 

NANDA-I(North American Nursing Diagnosis Association International)を手術看護に応用する

NANDA-I(North American Nursing Diagnosis Association International)は、看護診断の標準化を目的とした組織で、看護師が患者の健康問題を特定し、適切な看護ケアを提供するために使用する診断用語集を提供しています。

NANDA-Iは、看護師が患者の健康状態を評価し、看護計画を立てる際の基礎となる診断名を確立しています。

手術看護の領域でも、NANDA-Iを効果的に応用することが可能であり、患者の状態を的確に評価し、最適な看護ケアを提供するために大いに役立ちます。

以下に、手術看護におけるNANDA-Iの活用方法について、簡単ではありますがまとめています。

手術前の看護診断とNANDA-Iの応用

手術前の看護ケアでは、患者の身体的・心理的状態を評価し、手術を受けるために最適な状態を作り上げることが求められます。

NANDA-Iの看護診断は、患者のリスクを事前に特定し、予防的ケアを実施するための指針を提供します。

アセスメント:患者の評価

手術前に行う評価は多岐にわたります。患者の身体的状態、心理的な不安、社会的背景、生活習慣などを評価することで、手術に備えることができます。具体的な診断名をいくつか挙げ、どのようにNANDA-Iの診断を活用するかを見ていきます。

  1. 不安(Anxiety) 手術に対する不安は、患者が最も抱えやすい感情の一つです。NANDA-Iでは「不安」という診断を使用し、患者が手術に対する不安をどのように軽減するかを考えます。評価としては、患者が手術に対してどれくらい不安を感じているか、どのような理由で不安を感じているのかを明確にする必要があります。
    • 看護診断例
      • 不安(手術に対する不安)
      • 症状:患者が手術の結果を心配しており、睡眠不足や食欲不振、過剰な質問が見られる。
      • 対応:手術内容や術後の回復についての情報提供を行い、患者の不安を軽減するために、リラクゼーション技法や深呼吸法を指導します。
  2. 手術に対する知識不足(Knowledge Deficit) 手術前に患者がどの程度手術に関する知識を持っているかを評価し、不足している知識を補う必要があります。NANDA-Iでは「知識不足」という診断を使用します。手術の流れや術後のケアに関して十分な知識を持っていない患者には、教育を行い、術前に必要な情報を提供します。
    • 看護診断例
      • 手術に対する知識不足
      • 症状:手術の詳細について質問が多く、回復までの過程を理解していない様子。
      • 対応:手術の進行状況、予想される回復の過程、術後の管理方法に関する説明を行います。視覚的な資料やモデルを使って、患者の理解を深めるための教育を行います。
  3. 感染リスク(Risk for Infection) 手術前には感染症のリスクが高まるため、NANDA-Iでは「感染リスク」を診断名として使用し、予防策を講じます。患者が手術前に感染を引き起こす可能性を減少させるため、適切な対策を取る必要があります。
    • 看護診断例
      • 感染のリスク
      • 症状:手術部位が汚れている、既往歴に免疫力が低下している疾患がある、または感染症の家族歴がある。
      • 対応:手術前に患者の消毒、シャワー指導、予防的抗生物質の投与などを行います。手術部位の消毒や清潔な環境を保つために準備します。
  4. 身体的損傷リスク(Risk for Physical Injury) 手術を受ける患者は、麻酔や手術中の体位変化、手術後の回復段階において、身体的な損傷を受けるリスクが増加します。NANDA-Iでは「身体的損傷リスク」を使用し、手術中および手術後のリスク管理を行います。
    • 看護診断例
      • 身体的損傷のリスク
      • 症状:患者が自分で動けない、麻酔による筋肉の弛緩がある、または体位管理が不十分である場合。
      • 対応:患者の体位を適切に調整し、手術中や回復室での安全を確保します。また、麻酔後の意識が回復するまでの時間において、患者の身体的安全を守るための観察を行います。

手術中の看護診断とNANDA-Iの応用

手術中には、患者の生理的な状態の監視や安全確保が重要です。手術看護においても、NANDA-Iの看護診断は非常に役立ちます。

アセスメント:患者の状態の監視

手術中の患者の状態は、麻酔や手術操作によって常に変化します。以下に、手術中に適用可能なNANDA-Iの看護診断をいくつか紹介します。

  1. 非効果的呼吸パターン(Ineffective Breathing Pattern) 麻酔中や手術中において、患者の呼吸パターンが不十分になることがあります。麻酔薬が呼吸中枢に影響を与え、呼吸が浅くなったり、呼吸が遅くなることがあるため、NANDA-Iの「非効果的呼吸パターン」という診断が適用されます。
    • 看護診断例
      • 酸素化の不十分
      • 症状:患者の呼吸が浅く、頻脈が見られる。呼吸音に異常がある。
      • 対応:患者の呼吸状態をモニタリングし、必要に応じて酸素療法を提供します。呼吸数や酸素飽和度を監視し、呼吸をサポートするために適切な対応を行います。
  2. 非効果的組織循環(Ineffective Tissue Perfusion) 手術中に出血や循環の問題が発生する可能性があります。NANDA-Iの「非効果的組織循環」を使用し、血圧や脈拍、出血量などを常に監視します。
    • 看護診断例
      • 血行動態の不安定
      • 症状:低血圧、頻脈、大量出血が確認される。
      • 対応:循環状態を改善するために、輸血や液体療法を実施します。

手術後の看護診断とNANDA-Iの応用

手術後の患者のケアも非常に重要で、NANDA-Iの看護診断を使用して、術後の回復を支援します。

アセスメント:術後の評価

手術後の患者は、痛み、出血、感染のリスク、身体的な機能の回復など、さまざまな問題に直面します。手術後のケアにおいて、以下の診断を活用します。

  1. 急性疼痛(Acute Pain) 手術後、患者は痛みを感じることが一般的です。NANDA-Iでは「急性疼痛」という診断を使用し、痛みの管理に取り組みます。
    • 看護診断例
      • 急性疼痛
      • 症状:患者が手術部位の痛みを訴え、動くことができない。
      • 対応:痛みの評価を行い、必要に応じて痛み止めを投与します。また、患者にリラクゼーション技法や呼吸法を指導し、非薬物療法も取り入れます。
  2. 術後回復遅延リスク(Risk for Delayed Surgical Recovery) 手術後、患者が予想通りに回復しない場合もあります。NANDA-Iでは「術後回復遅延リスク」という診断を使用し、患者の回復を支援します。
    • 看護診断例
      • 回復遅延のリスク
      • 症状:術後の動きが鈍く、意識が回復しない、あるいは食事が摂れない。
      • 対応:リハビリテーションや早期の歩行訓練を進め、早期回復を促します。栄養状態や水分補給にも注意を払い、患者の回復をサポートします。
  3. 感染リスク(Risk for Infection) 手術後の感染リスクは常に存在します。NANDA-Iの「感染のリスク」を使用して、感染の兆候を早期に発見し、適切な対策を講じます。
    • 看護診断例
      • 感染のリスク
      • 症状:手術部位の赤み、腫れ、発熱など。
      • 対応:手術部位の観察と清潔な環境を維持し、必要に応じて抗生物質の投与や消毒を行います。

まとめ

手術看護におけるNANDA-Iの活用は、患者の状態を的確に把握し、効果的な看護ケアを提供するために非常に重要です。

手術前、手術中、手術後の各段階において、NANDA-Iの看護診断を活用することで、患者に最適な看護ケアを提供できます。

具体的な診断をもとに、患者一人ひとりの状態に合わせたケアを行い、手術の成功に導くための重要なツールとなります。

 

教育現場ではどの様に使用されているか。

私の所属する大学では領域によってヘンダーソンやゴードン、NANDA-Iをそれぞれ活用する大学でした。
ですので、学生は大変だと思います。

そして個人的に思うのは、NANDA-Iは簡潔に診断ラベルを出すことが得意なのですが、学生には少し不向きなのかなと思いました。

と言うのも、やはり看護問題までのプロセスを大事にして欲しいと思うからです。

アセスメントの部分などあっという間に飛ばして考えているように感じます。

すでに看護師として働いていて、頭の中でしっかり考えられているならば良いと思います。

しかし、学生の間はちょっと早いのでは?と思うのが正直なところです。

 

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