
こんにちは。一匹兎(@pepeopecn)と申します。
元手術室の看護師です。現在は大学で教員をしています。
今からもう何年も前になりますが、某資格を取得する為に研修をしばらく受けていた時があって、その時のレポートが出てきたので懐かしく思い、転記します。
授業は「臨床薬理学」
その集大成として課題レポートが出ました。
テーマは「あったらいいな(将来使える様になったら良い)と思う薬物」について。
これはなかなか面白いテーマだと思いましたが、さてここは真面目にいくか、ちょっと笑いを含めていくか。
非常に悩みどころでしたが、この研修自体私は色々と挑戦することを目標の一つに掲げていたので、ちょっと面白く書けないかなと考えて書いたレポートです。
我ながらそれなりに書けた方かと思いますので紹介します。
確か点数は100点満点中85点辺りだった様な…。
懐かしい…。
あったらいいな(将来使える様になったら良い)と思う薬物ーバカに付ける薬ー。
一般的に“バカ”とは「知能の働きが鈍いこと」(松村,2006)という意味で,いわゆる勉強が出来ない人や知識が足りない人,理解の度合いが足りない人を指す言葉として用いられる。
その他の意味に「道理・常識から外れていること,常軌を脱していることまたそのさま」(松村,2006)として,思慮が足りなく当人を理解しようとする努力が不足している,または自覚していない人として捉える考え方がある。
この人種は相手に迷惑をかけるだけでなく,何より自分自身の教養の無さを露呈することになる。
教養の無さは私自身自分で感じており,自分を成長させる意味でも何か良い方法は無いかと考えることがある。
人それぞれ捉え方は様々で,同じものを見ても正反対のことを考えたり感じたりする。
それは与えられた情報に対する姿勢の問題で,自分が知りたくないことについては自主的に情報を遮断してしまっている1)。
それでは自分を成長させることは出来ない。そこで将来,薬として“バカに付ける薬”が使える様になったらという希望を込めて述べていきたい。
バカは病気や怪我の部類ではなく,自分自身の問題である。
と言うことは自分自身で如何様にも出来るとも意味を取ることが出来ると考える。
その為の第一歩として,まずは自分が“バカ”であると認識することから始まる。
バカであると認識するには“恥”をかき,“失敗”することから始まると考える。
さらにそれを“自覚”しなければならない。
その自覚を促してくれるのが,バカに付ける薬である。
一般的に急性の病気や手術を要する病気には西洋薬の方が力を発揮するが,慢性的な病気には漢方薬の方が向いているとされている2)。
さらに漢方薬は生体のホメオスタシス(恒常性維持)を主に捉えて病気を見ている2)。
バカに付ける薬も急性的に考えるのではなく,長期的な成長の過程として捉えている薬であり,漢方薬として製薬される。
漢方薬を作る為に様々な生薬がある。
生薬にはそれぞれ薬効,薬味,副作用など様々あるが,配合する上で方法は一つではなく自分の好みで配合が可能である。
ただし、様々ある薬味の中で麻黄,生姜などの“辛い”ものと五倍子,金桜子など“酸っぱい”ものを一つ以上混ぜなければならない。
これは辛酸を嘗めるといった効果を期待している。
私個人としては酸っぱい効果の他に苦味もある,金桜子を使用すればより効果が期待できるのではないかと考える。
さらにそれを草津の湯を用いて1時間から2時間煎じる。
慣用句に「医者でも草津の湯でも治せない」とあるように,最終的に“バカ”は自分自身の力で乗り越えなければいけないものである。
可能であれば,自分がこの様な人になりたい思う,またはこの人の様になってもらいたいと思う人物の爪の垢を一緒に配合すると,より効果が期待できると考える。
一般的に多くの人は「頭が良くなりたい」「色々な知識を得たい」と思っているのではないだろうか。
そう思うことは大切なことで,必要なことである。
私が“頭がいい”と感じる人は,バランス感覚が優れている人である。
バランスを崩すとは知識が偏っていない事である。
偏っていない知識を得ることは,自分自身を知り,けして己惚れることなく,自分はまだまだ未熟者だと自覚し,新たな知識を吸収しようとする姿勢から始まると考える。
本来“バカ”とは本を読む,先人の意見を聞くなどして年相応に知識や教養を身に付け,成長と共に解消されていくものである。
しかし,自分の怠慢でそれを怠り,年齢の積み重ねに対して知識や教養が追い付かずバランスを崩した状態である。
さらに原因は自分自身だけではなく,周りの環境にもよる。
その環境因子を自分の中でどうやって消化していけば良いのか誰も教えてはくれない。
自分自身で状況を判断し,本来日常生活の中で感じる“恥”や起こりうる“失敗”を素直に受け止め,成長の糧にしなければならない。
そのことに“気付く”ことは,歳を取れば取る程難しく,今まで生きてきたプライドも相まって成長することが出来なくなってしまう。
その“気付く”ことを助ける薬として“バカに付ける薬”が活用されることを期待する。
引用文献
1)松村明(編者):大辞林 第三版,三省堂,2006
参考文献
1)養老孟司:バカの壁,新潮社,2003
2)中井健吾:系統看護学講座 専門基礎5 疾病のなりたちと回復の促進[2] 薬理学,医学書院,1999
3)鈴木洋:漢方のくすりの事典-生ぐすり・ハーブ・民間薬- 第2版,医歯薬出版株式会社,2011