
こんにちは。一匹兎(@pepeopecn)と申します。
元手術室の看護師です。現在は大学で教員をしています。
読書感想文の第五弾になります。
今回の作品はこちらになります。
本のタイトルにもある様に「行動経済学」について面白く例を挙げながら紹介しています。
私は看護大学で教員をしておりますが、大学院では情報工学系を修了しました。
その時の授業でちょうど行動経済学を取り上げる内容が多く、その授業も非常に面白かったので、この本も絶対面白いだろうと思い、手に取りました。
予想通り非常に面白い内容です。
知らず知らずのうちに無意識に誘導されていることが良く分かります。
これはこんなカラクリがあったのか!
と思ってなるほどと思ったり、このカラクリを理解して自身でも行動できるようになれば、もしかしたらもう少しだけ楽に生きていけるかもしれません。
行動経済学を理解することは人生を豊かにすることに繋がるかもしれません。・
※ここから先はネタバレを含む場合があります※
なるべくネタバレにならないように配慮しますが感想を述べる以上少々内容を付け加える場合があります。
もちろん全編を事細かに書くわけではありませんので、こちらの記事を読んだ所で書籍を読んでも充分にお楽しみいただけると思います。
行動経済学を自分の生活に有効に使う。
行動計座学とは何ぞや?といった所がまずは理解したいところですが、もちろん本書ではその知識も理解しやすいです。
そこに具体的な例を混ぜているのでさらに分かりやすく理解することが出来ます。
ナッジ(nudge)
行動経済学を語る上で欠かせないのがナッジ(nudge)と言われるものです。
ナッジ(nudge)とは英語で「(注意を引くために)軽くつつく、そっと押す」という意味です。
それが転じて「ある行動をそっと促す」ことを言います。
ビジネスや行政の現場ではこの〝ナッジ理論〟を活用し、強制したり罰則を設けることなく、人々が自発的により良い行動が選択できるように促しています。
この強制したり罰則を設ける事なく自発的に行動できるように促す、という部分に〝面白さ〟を感じます。
例えばコンビニのレジに並ぶ所に足のマークがあったり、駅の階段に絵が描いてあって自然とエスカレーターより階段を使用するように促したり、といったことです。
街の中に自然と溶け込んでいるナッジも沢山あります。
理論は分かったが、どう活用すれば良いのか。
行動経済学の事もナッジ理論の事も大体分かりました、としてもでは実際にどう活用すれば良いのか、という事になりますよね。
そのヒントが本書を読むことで分かるようになります。
自分の仕事や生活の中でどの様に活用すれば良いか分からない。
そんな人の為にとにかく〝具体的〟な行動経済学の方法が分かる本になっています。
この本を読むことによって自然の誘導とはどんなことか分かる。
本書を読むことで、人間が自然と誘導されるメカニズムが分かります。
ザイオンス効果、バンドワゴン効果、○○バイアスなど、一つ一つの事象に関して難しい言葉が出てきますが、それよりも具体例が出ますので、一つ一つ難しい言葉を覚える必要なくスッと頭に入ってきます。
前から何となくそうじゃないかなと思っていた事で、根拠が無くて言えなかったことなど、本書を読むことでやはりそういう事だったのか、と気付くことが出来ます。
経済行動学の書籍は数多く出ていますので、この様な無意識のうちに促されて人間が動いてしまう傾向について引用参考文献として説明が出来そうです。
つまり、その様な関係の研究にも十分に活用ができるかもしれません。
本書でも数多くの研究結果が紹介されており、研究者目線でも納得のいく説明をしてくれています。
看護はもちろん様々な学問との融合も出来そうな学問。
私の場合は大学院でのひょんな機会で行動経済学に触れることになりましたが、看護学だけでなく様々な学問に応用して融合が出来る学問であると感じました。
特に研究関連で行動経済学の内容を活用したいという方にはまずは入門書としても良いかと思います。