
こんにちは、あるいはこんばんは。一匹兎(@pepeopecn)と申します。
元手術室の看護師です。現在は大学で教員をしています。
看護学生のみなさん、日々学修に励んでいるかと思います。
手術室見学や手術室実習のあと、「振り返りを書いてください」と言われて困ったことはないでしょうか。
何を見たのかは覚えているけど、どう書けばいいか分からない
感想だけになってしまう
専門用語が多くて整理できない
カンファレンスで話せる形にならない、何を話せばよいか分からない
など
手術室は、病棟実習とはまた違った緊張感があり、情報量も多い場所です。
そのため、見学した内容を〝見たまま〟で終わらせず、あとから整理して学びに変えることがとても大切です。
この記事では、手術室見学・手術室実習の振り返りについて、何を書けばいいか、どう書けばまとまりやすいかを、看護学生向けに分かりやすくまとめます。
手術室見学・手術室実習の振り返りが大切な理由。
見学しただけでは学びが残りにくいから。
手術室では、短い時間の中でたくさんのことが同時に進みます。
患者確認、麻酔導入、体位固定、清潔操作、器械の準備、外回り看護師の動き、記録、報告……と、見るところが多く、終わったあとに「何か凄かった…」で終わってしまいやすいです。
もちろん、最初はそれでも自然です。
ただ、そこから一歩進んで、何を見たのかを言葉にすることで、学びとして残りやすくなります。
患者さんへアセスメントや看護援助に繋がるから。
実は一番ここが重要と感じます。
手術見学による学びを得ることで、実際どんな手術をしているのかといった部分が考えることができ、それをその先の病棟での看護に繋げることが出来る様にすることが目的の一つです。
例えば術後合併症に繋がりそうなことが何か無いだろうか、など考察をすることに繋がります。
手術室は情報量が多く、あとから整理が必要だから。
病棟実習よりも、手術室実習は「その場で全部理解する」のが難しいことがあります。
緊張もあるので、見えていても頭に入っていないこともあります。
だからこそ、振り返りは「できなかったことの証明」ではなく、理解を整理し直す時間と考えると楽になります。
次回の見学・実習の質を上げるために役立つから。
振り返りのいちばん大事な目的は、きれいに書くことではありません。
次に何を見るか、何を確認するかを決めることです。
振り返りができると、次回の見学で「今日はここを見よう」と意識しやすくなり、学びが深まりやすくなります。
正直、次に手術見学をする機会は少ないかもしれません。
それでも今回の見学の振り返りをすることで、次回の学びがより深くなることが期待できます。
手術室見学の振り返りで、まず分けるべき3つ。
逆を言うと上記に当てはまるようなことをまずは考えてみることです。
振り返りが書きやすくなるコツは最初から文章でまとめようとしないことです。
まずは、次の3つに分けて考えると整理しやすくなります。
① 事実(何を見たか)
ここでは、まず見たこと・起きたことを書きます。
自分の感想ではなく、事実を中心にします。
例)
入室前に患者確認が行われていた
麻酔導入前にタイムアウトが行われていた
体位固定の際に複数人で確認していた
など
手術室で見たこと、起きたこと(聞いたこと)は今までの実習や授業ではあまり聞きなれないでしょうし、新鮮な部分もかなり多くあると思います。
そこで何をメモしたら良いかも分からないかもしれません。
しかし、メモさえ取っていれば後から振り返りができます。
メモを取っている時はよく分からなくても、その後にじっくりと時間をかけて振り返ることで、その時の手術室看護師の行動や言葉の意味が理解できます。
② 気づき(何を学んだか)
次に、その事実を見て何を学んだか、何に気づいたかを書きます。
ここで少しずつ手術室看護師の意図・考えを見出していきます。
例)
患者確認を複数人で行うことで、取り違え防止につながると感じた
体位固定は安楽だけでなく、安全確保の意味も大きいと学んだ
③ 次回の課題(何を確認したいか)
最後に、次につながる一言を書きます。
これがあるだけで、振り返りが「感想」から「学び」になります。
例)
次回は外回り看護師の記録のタイミングを意識して見たい
麻酔導入前後の看護師の役割分担を確認したい
手術室見学・実習で振り返りに書きやすい観察ポイント。
「何を書けばいいか分からない」ときは、最初から広く見ようとしなくて大丈夫です。
見学しやすいポイントをいくつか持っておくと、振り返りも書きやすくなります。
患者確認・タイムアウトで見たこと。
どのような項目を確認していたか
誰が声を出して確認していたか
どのタイミングで行っていたか
など
清潔/不潔の動きで見たこと。
清潔野に入る人・入らない人の動き
物品の受け渡し方
不潔にならないための工夫
など
体位固定・安全管理で見たこと。
どこを保護していたか
- どんな体位固定をしていたか
皮膚トラブルや神経障害を防ぐ視点
など
器械出し・外回りの役割で見たこと。
それぞれの役割の違い
連携のタイミング
声かけや確認の場面
など
麻酔導入前後の動きで見たこと。
導入前に準備していたこと
導入時の看護師の動き
導入後に優先して行っていたこと
など
手術室見学の振り返りの書き方(基本テンプレ)
振り返りは、次のテンプレを使うと書きやすくなります。
テンプレ。
①事実
今日の見学では、__________を見学した。
その場面で、__________が行われていた。
②気づき(学び)
私は、__________のために行われているのだと考えた。
特に、__________の点が印象に残った。
③次回の課題
次回は、__________を意識して見学したい。
また、__________について確認したい。
カンファレンス用に1行でまとめる。
最後に、1行でまとめられると報告しやすくなります。
例)
「体位固定は安楽だけでなく安全管理の意味が大きいと学んだため、次回は固定部位の観察ポイントを意識して見学したい。」
手術室見学の振り返り例文(よくない例/よい例)
例文① 感想だけで終わってしまう例
「手術室は緊張感があり、看護師さんが忙しそうでした。すごいと思いました。」
これでも感想としては間違いではありません。
ただ、何を見て何を学んだかが伝わりにくく、次回につながりにくいです。
例文② 事実+気づき+課題まで書けている例
「本日の見学では、麻酔導入前の患者確認とタイムアウトの場面を見学した。看護師・医師が複数人で確認を行っており、手術の安全を確保するために重要な手順だと学んだ。次回は、確認項目の内容と、外回り看護師がどのタイミングで記録しているかを意識して見学したい。」
この形だと、事実・学び・課題が分かれていて、読み手にも伝わりやすくなります。
例文③ 専門用語が分からないときの書き方例
専門用語が分からないときは、無理に断定しなくて大丈夫です。
例)
「器械の準備の場面で、清潔を保つための受け渡し方法が行われていた。次回は用語も含めて確認したい。」
“分からなかった”ことを書くのは悪いことではなく、次の学びの種になります。
振り返りが書けないときの対処法。
何を見たか思い出せないとき。
まずは「印象に残った場面を1つ」だけ書いてください。
全部書こうとすると止まりやすいです。
手術見学では様々な場面を見ると思います。
その中で1つでも印象に残った事があるだけで振り返りに非常に役に立ちます。
緊張してメモが取れなかったとき。
メモが少なくても大丈夫です。
終わった直後に、単語だけでも3つ書いておくと後で思い出しやすくなります。
(例:タイムアウト、体位固定、外回りの声かけ)
「自分の考え」が書けないとき。
「なぜそれをしていたのだろう?」を1回だけ考えてみてください。
正解を書くより、考える姿勢が大切です。
実習指導者さんへの報告・カンファレンスにつなげるコツ。
振り返りをそのまま読むと長くなりやすいので、報告用には少し短くします。
何を見たか(1文)
何を学んだか(1文)
次回何を見るか(1文)病棟での看護にどの様に活かすのか。
この3文にすると、1分程度で伝えやすくなります。
「うまく話す」よりも、「整理して話す」を意識すると落ち着きやすいです。
まとめ|完璧な振り返りより、次回につながる1行が大切。
手術室見学・手術室実習の振り返りは、最初から完璧に書けなくて大丈夫です。
大切なのは、見たことを少しずつ言葉にして、次回につなげることです。
迷ったら、まずはこの3つだけで十分です。
事実(何を見たか)
気づき(何を学んだか)
課題(次回何を確認したいか)
短くても、そこにあなたの学びはちゃんとあります。
一つずつ整理しながら、次の見学・実習につなげていきましょう。