こんにちは、あるいはこんばんは。一匹兎(@pepeopecn)と申します。
元手術室の看護師です。現在は大学で教員をしています。
今回は、手術室見学で何を見ればよいのかを整理する記事です。
見学前の不安がある方は、ぜひ読んでみてください。
手術室見学を前にすると、「何を見ればいいのか分からない」「難しそう」「立っているだけで終わってしまいそう」と不安になる学生さんは少なくありません。
手術室は、病棟とはまったく違う独特の空気があります。
無菌操作、器械、麻酔、モニター、術式、スタッフの動きなど、短時間で多くのことが進むため、初めて見学する学生にとって難しく感じるのは自然なことです。
ただ、手術室見学は“全部を理解する場所”ではありません。
大切なのは、その日の見学で何に注目するか、見る軸を持っておくことです。
この記事では、手術室見学の前に知っておきたいこと、見学中に意識したい観察ポイント、見学後に振り返りたいことを整理します。
手術室見学が難しく感じる理由そのものをもう少し整理したい方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。
▶ 手術室見学実習が難しい理由|できないのは能力の問題ではない。
手術室見学で「何を見ればいいのか分からない」ときに使いやすい、見学チェックリストの無料PDFも作りました。
見学前の確認や、見学後の振り返りに使いたい方は、こちらからどうぞ。
▶ 手術室見学チェックリスト_無料PDF
手術室見学が難しく感じやすい理由
手術室見学が難しく感じやすいのは、学生さんの努力不足や能力不足が理由ではありません。
もともと、学びにくさを含んだ環境だからです。
手術室には、独特の緊張感があります。
清潔・不潔の区別、無菌操作、器械の名称、麻酔管理、モニターの変化、スタッフ同士の専門的なやり取りなど、短い時間の中で非常に多くの情報が動いています。
さらに、病棟のように学生が自由に動いて関われる場面は限られやすく、どうしても見学が中心になります。
そのため、「自分は何もできなかった」と感じやすいのです。
でも実際には、手術室見学は“何かをする実習”というより、“観察し、考え、意味づける実習”です。そう考えると、見学の捉え方は少し変わってきます。
手術室見学が難しく感じるのは、能力が足りないからではなく、もともと学びにくさを含んだ環境だからです。
実習全体で「なぜ評価が伸びにくいのか」「なぜうまくいかないと感じやすいのか」をもう少し広く整理したい方は、こちらも参考になると思います。
▶ 〖看護学生向け〗看護実習で評価が伸びない理由を教員目線で解説します。
手術室見学の前に知っておきたいこと
見学の前に、まず知っておいてほしいことがあります。
それは、最初から全部を理解しなくてよいということです。
手術室では、術式や解剖、器械、看護師の動きなど、理解のために必要な前提知識が多くあります。
そのため、初めての見学で全部が分かることはほとんどありません。
だからこそ大切なのは、「今日は何を見るか」を自分の中である程度決めておくことです。
見る軸があるだけで、見学のしやすさはかなり変わります。
また、分からないことがあるのは当然です。
むしろ、分からなかったことを持ち帰り、あとで振り返ることも見学実習の大切な学びの一つです。
手術室見学でまず見るべき3つのポイント
手術室見学では、全部を一度に理解しようとすると苦しくなります。まずは、次の3つの視点を持って見るのがおすすめです。
1.手術の流れを見る
まずは、手術がどのような流れで進んでいるのかを見てみましょう。
たとえば、
- 患者さんが手術室に入る
- 麻酔が導入される
- 体位が整えられる
- 消毒やドレーピングが行われる
- 手術が始まる
- 手術が終了し、退室へ向かう
この流れをつかむだけでも、手術室で今何が行われているのかが少し見えやすくなります。
細かい術式や器械のことが分からなくても、まずは「今どの場面なのか」を追うことが大切です。
2.看護師の役割を見る
次に見たいのが、看護師の役割です。
手術室では、看護師が複数の役割を担っています。特に、器械出し看護師と外回り看護師では動き方が大きく異なります。
- 器械出し看護師は、術野に必要な器械や物品を医師へ渡す
- 外回り看護師は、患者さんの状態確認、物品準備、記録、安全確認などを行う
同じ看護師でも、見ているもの、優先していること、動き方が違います。そこに注目すると、手術室の看護の専門性が見えやすくなります。
3.安全管理を見る
手術室では、患者さんの安全を守るための確認や工夫がたくさん行われています。
たとえば、
- 患者確認
- 手術部位や術式の確認
- 器械カウント
- 清潔・不潔の区別
- 体位による圧迫予防
- 体温管理
- 出血量の把握
- モニター変化の確認
こうした一つ一つが、患者さんの安全に直結しています。手術は医師の技術だけで進んでいるのではなく、周囲の安全管理によって成り立っていることが分かると、見学の意味も深くなります。
器械出し看護師と外回り看護師の違いを見る
手術室見学で「誰が何をしているのか分からない」と感じることは多いと思います。そんなときは、器械出し看護師と外回り看護師の違いに注目してみると理解しやすくなります。
器械出し看護師は、術野の近くで、必要な器械や物品を適切なタイミングで医師へ渡しています。そのため、手術の流れを予測しながら、次に何が必要になるかを先読みして動いています。
一方、外回り看護師は、患者さんの全身状態や安全確認、必要物品の補充、チーム全体の動きの調整などを担っています。術野の外から、患者さんと手術全体を支える役割です。
この違いを知っておくだけでも、「看護師が何を考えて動いているのか」が見えやすくなります。
患者さんの視点で見てみる
手術室見学では、つい器械や術野、スタッフの動きに目が行きがちです。もちろんそれも大切ですが、患者さんの視点を持つと、見学はもっと看護らしくなります。
たとえば、
- 患者さんは今どんな状態だろうか
- 不安は強そうか
- 体位による苦痛や圧迫はないか
- 体温はどう保たれているか
- 出血量やモニターはどう変化しているか
- 安全のためにどんな配慮がされているか
こうした視点を持つだけで、見学が「手術を見る」だけでなく、「患者さんを支える看護を見る」時間に変わっていきます。
見学中にメモしたいこと
手術室見学では、その場で全部理解しようとしなくて大丈夫です。
むしろ、あとで振り返るために、印象に残ったことや疑問を書き留めておくことが大切です。
たとえば、次のようなことをメモしておくと振り返りやすくなります。
- 今日見た手術名
- 手術の大まかな流れ
- 看護師がどのように動いていたか
- 患者さんへの配慮として印象に残ったこと
- 安全管理として行われていたこと
- 分からなかった言葉や器械
- 疑問に思ったこと
など
きれいにまとめようとしなくてよいので、「気づいたことを短く残す」くらいで十分です。
見学後の振り返りで整理したいこと
見学は、その場で終わりではありません。見たことをどう整理するかで、学びの深さが変わります。
振り返りでは、たとえば次のようなことを考えてみると整理しやすいです。
- 今日の見学で一番印象に残ったことは何か
- 自分は何を見ていたか
- 看護師は何を優先していたか
- 患者さんの安全や安楽にどう関わっていたか
- 分からなかったことは何か
- 次に調べたいことは何か
など
「分からなかったことが多かった」と感じても大丈夫です。見学で得た疑問は、その後の学びにつながる大切な材料です。
手術室見学のあとに「何も書けない」「どう整理すればいいか分からない」と感じる方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。
▶ 手術室見学実習で何も書けない時の対処法|レポートが止まった時の考え方
まとめ|手術室見学は“全部理解する場”ではなく、“視点を持って見る場”
手術室見学では、最初からすべてを理解しようとしなくて大丈夫です。
手術室は、情報量が多く、スピードが速く、緊張感も強い環境です。
難しく感じるのは、能力が足りないからではなく、もともと学びにくさを含んだ環境だからです。
だからこそ大切なのは、「今日は何を見るか」という視点を持って見学することです。
手術の流れ、看護師の役割、安全管理、患者さんへの配慮。このあたりに注目するだけでも、見学の見え方は大きく変わります。
手術室見学は、“全部理解する場”ではなく、“看護の視点を持って観察する場”です。
見て終わるのではなく、見たことを振り返り、次の学びにつなげることが大切だと思います。
見たことをそのまま終わらせず、どう学びに変えるかまで整理したい方は、振り返りの書き方をまとめたこちらの記事も参考になると思います。
▶ 〖看護学生向け〗手術室見学・手術室実習の振り返りの書き方|何を見て、どう学びに変えるか
手術室見学で意識したいポイントを、見学前・見学中・見学後に分けてまとめた無料PDFも作っています。
手元で見返したい方は、こちらからどうぞ。
▶ 手術室見学チェックリスト_無料PDF