
手術室実習でのオリエンテーションの注意点について
【看護学生向け】【実習指導者向け】
こんにちは。一匹兎(@pepeopecn)と申します。
元手術室の看護師で、現在では大学教員をしております。
看護師時代では実習指導者も経験したことがります。
今までの記事でも学生や実習指導者向けに手術室見学の際の注意点について書いてきました。
今回の記事では手術室の実習指導者が学生に向けてどの様にオリエンテーションをすれば良いのか、私の実習指導者の経験も含めて書いていきたいと思います。
お付き合いくださいませ。
・手術室でのオリエンテーションの注意点について分かる。
オリエンテーションの日程について。
基本的にオリエンテーションは手術の日より前の日に実施しておくことが望ましいと思います。
理由は手術当日は朝一で手術室に向かうことも多く、その時点でオリエンテーションをすることは非常に難しく、ではオリエンテーションをせずに見学を実施すると思わぬところで予期せぬ事態に陥ってしまうことがあるからです。
問題は学生の受け持ち初日に手術がある場合です。
その場合は完全に手術見学をあきらめてもらうか、長い手術でしたら途中参加をしても良いかと思います。
実習初日はまずは病棟でのオリエンテーションがあり、患者さんの情報収集が先かと思います。
少し残念ですが、手術の安全性を保つこと、学生の混乱を防ぐ意味でも初日にいきなり手術見学は避けた方が良いのではと思います。
学生の見学時の入室方法について。着替えの方法は?
学生の入室方法について。
押さえておきたいことはまずは学生がどうやって手術室に入室してくるのか、です。
その際に学生がどの様な手順で手術室のユニフォームに着替えるのか、または着替えなくても良いのか。そこを決める必要があります。
患者さんと一緒に入室する場合。
例えば、病棟から患者さんと共に手術室に来て、申し送りを聞いてそのまま手術室へ入室するのか。
この場合は、手術室に来た時点で着替えを始めていては遅れてしまいます。
この流れだと手術室に入ってからの諸々の準備の場面も見学してほしい、となると朝の入室前に学生に手術室に来てもらって一度手術室のユニフォームに着替えてもらってから病棟に戻って、患者さんと一緒に入室、という流れが一番良いと思います。
そのまま全身麻酔への準備のところもまでスムーズに見学できると思います。
手術室で患者さんを迎える場合。
朝病棟では早々に切り上げて手術室に向かい、患者さんを手術室側から迎え入れる場合もあります。
この場合は学生に早めに手術室に来てもらって着替えが終わったら手術室の入り口で手術室看護師と共に出迎えることになります。
どちらの場合でも学生にはスムーズに着替えをしてもらいたいところです。
着替えの方法を教えておく。
オリエンテーションでは学生が一人でも着替えが完了できるようなイメージで着替えの場所や使用してよいユニフォーム、キャップや靴下、マスクの場所をしっかりと説明すると良いと思います。
当日その時に説明しながらの動きでは意外と手こずったり、遅くなったりします。
事前に説明をしておいて、学生も覚えてもらってから動いた方が当日の流れがスムーズになると思います。
出来れば一人一人の鍵付きロッカーを提供していただけると良いと思います。
普段みなさんが使用している更衣室で余っているロッカーなんかをお貸しいただけると非常に助かります。
手術室を1周回ってみる。
前述した通り、着替えの方法を説明したら実際に着替えてみても良いかもしれません。
そのついでと言っては何ですが、そのままの勢いで手術室内を1周回ってみてはいかがでしょうか。
手術見学の時は恐らく一つの部屋のみになってしまうので、手術室全体を見ることは難しいのかなと思います。
器械出しの器械開きの様子や、中材での滅菌の仕方、滅菌物の保管の仕方、使用した器械の洗浄、患者さんが手術室に入る前の部屋の状態など、ただ手術見学をするだけでなく、〝患者さんがいない〟手術室の雰囲気や様子を見ることは学生にとってとても良い経験と学びになると思います。
手術見学をする際の注意事項を説明する。
こちらは非常に重要と考えます。
何より一番ここは説明する必要があると感じます。
他の記事でも書いていますのでこちらも参考にしてみて下さい。
特に説明して欲しいと感じるのは
・滅菌物を不用意に触らない事
・少しでも体調不良になったらすぐに教える事
です。
特に滅菌物に関しては最悪手術が中断、中止といった状況にも陥ります。
こちらは患者さんにも非常に迷惑になってしまうので絶対に避けたいです。
体調に関してもいきなり倒れたりすることで手術を妨げる要因になりかねません。
ココに関しては学生にも分かる様に分かりやすく、十分に説明をよろしくお願いいたします。
・何か疑問点があれば基本的には外回り看護師に伝える事
・手術中に見学する際に立つ位置をしてしてあげる
ことも重要です。
ここで重要と思う事は、まずは手術を安全に完了できること、です。
学生の事を考えてくれて多くの学びになるようにアプローチしてくださることは非常にありがたいし感謝ですが、それで患者さんを危険に晒すわけにはいきません。
患者さんファースト、その次に学生のことを考えていただけると幸いです。
私の経験になりますが、日程の調整が上手くいかず事前のオリエンテーションができず、実習指導者さんの判断で学生へのオリエンテーションを当日の外回り看護師にお願いするといったことがありました。
大事にはならなかったのですが、学生が滅菌物を不潔にしかけてしまい後々問題となってしまいました。
それ以降、双方の話し合いの末、手術見学自体を中止することになってしまいました。
誰のせいという責任を押し付ける気はありませんが、お互いにあまり良い気分にはならず、学生にも学ぶ機会を失ってしまい非常に残念な出来事でした。
私も何かアプローチができたのではないか、問題が起こってからの対処方法などとても考えさせられる出来事でした。
手術室看護師の仕事、魅力を伝える。
手術見学に向けての重要事項を伝えて時間が余ったらぜひ、自身の大事にしている手術看護の思いや看護観などを教えて下さい。
すぐには学生がイメージしたり理解したりといったことが難しいかもしれませんが、話していただけることでキッカケになり、手術看護に興味が湧いてきます。
実際、私が関わった学生は手術見学をする前とした後で目の輝きがキラキラして、凄く良い学びになったんだろうなと思うことも沢山ありました。
それがキッカケで手術看護に興味を持ち、将来手術室看護師になりたいといった言葉も聞かれたりしました。
あまり時間を取り過ぎると業務にも支障が出ますし、手術見学における大切な部分を伝えるだけでもそれなりの時間になると思いますので、余裕がある時で大丈夫かと思います。
たまに学生の時から手術室看護師を目指して入学してくる学生も一定数います。
私も大学で随時手術看護の魅力をお伝えしているのですが、やはり現場の皆さんの言葉は非常に効果的な様子です。
学生の緊張感を和らげるアプローチを。
手術見学の時は学生はとても緊張しています。
手術室看護師はただでさえキャップにマスクで表情が分かりにくいです。
正直、恐いという感想を持つ学生もいます。
そこに手術見学となると緊張で良い学びに繋がらない可能性があります。
学生がリラックスできる環境作りをぜひよろしくお願いいたします。
お願い:過度な期待は学生にとって非常に厳しいかと思います。
正直、ほとんどの看護学校では手術看護について授業であまり触れないと思います。
つまり手術看護についてほとんど無知の状態で見学に入ります。
事前学習と言えど、手術室の中のことは全く想像がつきませんので、ましてや手術室看護師がどんな仕事をしているかなどまったく思いついていない状況で見学に来ます。
その状況で、何を目標に手術見学に来たの?という質問に、ありきたりな返答しかできないと想像します。
あまりご期待するような返答は無いかもしれません。
ですが、そこは温かい気持ちでぜひ見守っていただき、手術看護の醍醐味を見せていただければと思います。
学生は手術見学前の記録ではあっさりしていても、手術見学後はビッシリと学びや経験を書いてきてくれます。
ぜひ手術見学後の学生の記録を見てみてください。
最後に。
手術見学を患者さんの安全に考慮した説明をすることは最重要項目だと思います。
それ以外では学生が興味を引くような、手術室の恐い、暗いといったイメージが払拭されるようなイメージの転換に繋がるような意識を持って学生と接していただければと思います。
今回は手術室見学時のオリエンテーションについて書いていきました。
この先の看護学生の手術見学についての見解が変わっていくかもしれません。
その都度の変化に合わせてこの記事も修正していきます。
ご意見ご感想がありましたらお問い合わせまで。