
こんにちは。一匹兎(@pepeopecn)と申します。
元手術室の看護師です。現在は大学で教員をしています。
ここ数年でかなりの案件が増えてきたなと感じる事案があります。
それは学生を相手にレポートや看護過程などの課題代行サービスでお金を稼いでいる副業民が非常に増えてきていることです。
その点についてついにメスが入りました。
今回はこちらの記事で詳しく書いていきたいと思います。
令和8年(2025年)8月1日に厚生労働省より通達。
令和8年(2025年)8月1日付けで厚生労働省より通達がありました。
毎年の様にホームページ掲載される看護師国家試験の施行について。
看護師国家試験の日程についての連絡です。
その中に「その他の留意事項」として以下の様な内容で通達がありました。
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厚生労働省ホームページより
「看護師等学校養成所におけるレポート、課題等の作成において、学生自身が作成せずに、課題等代行サービスを利用した事案が報告されている。」
ことに対して
「各養成所の卒業に必要な単位の認定において、レポート、課題等の作成を学生自身が行わなかったと認められる場合には剽窃行為とみなされ、単位の認定が行われない可能性がある。 」
とあります。
これにより学生自身で作成した課題ではないと判明した場合、単位認定にならず国試を受けることができないということになります。
分かりません、知りませんでしたでは通用しません。
今までは看護学校側の裁量になっていたかと思います。
しかし、こうやって厚生労働省から通達が出たことで、看護学校側も提示できるようになりました。
この先看護学校側も何かしらの対策を立てることが予想されます。
chatGPTを使用することはNGなのか。
私も大学教員として働いていますので学生にレポートの指示を出すことがあります。
そこで最近の流行りとしてchatGPTを使用して作成したと思われるレポートが散見します。
個人的にも大学の方針的にもchatGPTを使用すること自体は可能としています。
しかし、そこで作成された文章をそのまま提出することはNGとしています。
そこまで分かるのか?といった疑問をお持ちになるかと思いますが、正直分かります。
文章の脈絡や内容、この学生のレベルでは大体この程度であろうなど、特にcahtGPTだけに任せた文章ではどこかに違和感を感じる文章になっています。
(もしかしたらこの先の発展でそれも分からなくなるかもしれません)
chatGPTの文章をそのまま提出したらまずバレると思っていいでしょう。
〝そのまま〟使用することをNGとしているので、上手く有効活用すれば良いのです。
例えば文章の大枠を書いてもらうとか、どの様な展開すれば面白くなるだろうなど手助けをしてもらえば良いのです。
その大枠を書いてもらって自分なりの文章に修正すれば良いのです。
この様な有効活用することは大学側もNGにしていないと思います。
どこまで該当するのか。【私の見解含む】
しかし厚生労働省の通達にはどこまでが該当するのか明確に書かれていません。
あくまで学生自身で作成していない場合、看護学校側の裁量によって単位を認めるかどうか判断することになりそうです。
以下に私の見解を書きます。
この場合の単位認定にならなそうな事案
・chatGPTの文章をそのまま提出
・友達、家族など自身以外に作成させた課題をそのまま提出
・通達にある様に課題等代行サービスを利用しそのまま提出
ここで肝になるのは〝そのまま〟提出、という部分です。
学生自身がまったく関与せずに提出することはやはり単位として認定することは認められないのは当然のことだと思います。
課題等代行サービスの利用。
ここで一番の問題と思うのが、通達にも記載のある〝課題等代行サービス〟といった文言です。
私も過去に言及したことがあるのですが、ここ数年の間に看護師の副業として学生を相手にレポート作成や看護過程の作成、記録などの作成をサポートする仕事が散見するようになりました。
ココ〇ラといったプラットホームでよく見かけるのですが、レポート作成に2万円弱、実習サポートとして4万円弱まで請求する方もいるようです。
課題等代行サービスを利用する恐さ。
個人的な見解になりますが、課題等代行サービスを利用する上での恐さについて書きます。
単位認定されない、といったことだけでない恐さについてです。
それは
〝患者情報の漏洩〟についてです。
例えば学生をサポートする意味でこの様な疾患の患者さんならこんな関連図になりそう、といった提示をするのは有効ですし、ぜにアドバイスをいただきたいと思います。
その様な雑誌や書籍が発売されるのも事実ですし、むしろ勉強していただきたいと思います。
看護学校に提出する際の看護記録について代行を頼むとすると、受け持った患者さんの情報をそれなりに伝えないと、しっかりとしたアセスメント、看護問題の抽出、看護計画の立案などができなと思います。
つまり、それだけ患者情報を漏洩している可能性があるということです。
患者情報漏洩の程度によりますが、学生ですと退学の恐れ、そのサービスを提供している看護師には看護師免許はく奪の可能性があります。
看護師の方ならご存じでしょうが、守秘義務を守ることが保助看法でも定められています。
冗談抜きでこれらの可能性があることをしっかりと自覚する必要があります。
結局の所、看護学校の裁量になりそう。
いくら通達があったとして、学生が本当に学生自身で作成していないかどうかを証明することは看護学校側も難しいと思います。
その点を考えると今回の通達をもってしてもそこまでの効果は少ないかもしれません。
そしてあまり問題を起こしたくない看護学校側からしたら代替案を用意してそこまで大きく言及しないかもしれません。
しかしこの通達のおかげで、看護学校側も疑問に思いながら対応していた部分が、この通達を武器に警告を言うことが出来るようになったと思います。
今回の目的は?【私の見解】
今回の通達によって一番影響があるのは、
やはり課題等代行サービスを実施している業者または個人への影響が大きいと思います。
特に業者より個人で荒稼ぎをしている副業組だと思います。
さらに一番気にしているのは患者情報漏洩です。
個人で副業している方々へのけん制をすることで情報漏洩が少なくなるのではないかと思っています。
もちろん学生への警告でもあります。
これらの業者やサービスを利用するには、それなりのルールを守ってねといった警告と思っています。
学生はしっかり自覚する事。副業組もしかり。
学生は自身で作成しないと単位を認められないかもしれないことをしっかりと自覚する事で必要です。
さらにこれらのサービスを運営している方々は、学生が単位を落とすかもしれないことに加担している事をしっかりと自覚しなければなりません。
最悪の所、学生は退学処分、看護師免許はく奪の可能性まであることを考えなければなりません。
身近の教員に相談しよう。
確かに課題の量は多いかもしれません。
SNSで出る話題ですが、課題を多く出すのは当たり前、それが学びだという教員や、実習中に寝不足になるのは当たり前といった教員は正直最近は淘汰されています。
運悪くその教員が担当だとしても、その教員以外にも相談できると思います。
下手に代行サービスを利用して、その後の人生を台無しにしてしまうかもしれない可能性になるより、分からないことを正直に身近の教員に相談してみることが一番の近道の様に感じます。
ここでレポートの量や記録量を減らせといったご意見もSNSでは散見しますが、それでは教育の質を担保できないと感じます。
(もちろん理不尽に多い課題量は不要です)
少なくとも今から10年前くらいの教育とは変わってきていて、学生にはお昼休憩はしっかり休んでもらう、居残りの学修はさせない、睡眠時間が確保できるような課題量、といった対策は最近の大学では取っていると思います。
最後に。
最近出てきたAIを筆頭にchatGPTでの問題、課題等代行サービスまでついにメスが入ることになりました。
これらはすべて完全に撲滅するのではなく、使い様によってはかなり有効に効率的に学修できることかとも思います。
しかし、やはり学生が自身で課題に取り組むことが必要最低限であることは間違いないです。
この厚生労働省の発表はまずは第一弾といったところでしょうか。
今後の展開に注視してく必要がありそうです。
私も注目しながら続編を待ちたいと思います。