看護学生が看護過程をしっかりと勉強する・しなければならない理由【私情を挟んだ見解】

こんにちは。一匹兎(@pepeopecn)と申します。

元手術室の看護師です。現在は大学で教員をしています。

学生にとって実習中の看護記録の量について不満を良く聞きます。

そして一部だと思いますが、現場の看護師からも何故そこまで記録の量を増やすのか、学生がかわいそうなどといったご意見が聞かれたりします。

今回の記事ではそれらについて私なりの見解を含めて回答してく様なイメージで書いていきたいと思います。

学生の頭の中を覗く為。

看護学生に実習中に看護記録を書かせるのは、学生の頭の中を覗く為です。

正直言うと看護師国家試験を合格して無事に看護師になった後、臨床に入ったらほとんど看護過程の展開をすることは無いでしょう。

しかしそれはちゃんと看護師国家試験に合格し、看護師として一人前になったからこそ、敢えてそこまで記録に残す必要はないという事だと思います。

学生は当然ながら看護師ではないので、一人前の看護師の様な思考回路になっているのかを確認する必要があります。

その為には口頭で話してもらうか、記録として残してもらう事しか方法が無いと思います。

そこで口頭での確認は残るものでもありませんし、かなり難しいことを考えるとやはり記録物に頼るしかない現状になっていると思います。

そして看護師免許のない学生が、どこまで患者さんのことを理解してアセスメントできているのかを判断するには学生の頭の中を覗かなければなりません。

その為の記録物であると私は認識しております。

もちろん文字だけですべてを表現できれば良いのですが、そうはいかない学生も多いです。

思っていることを上手く文字として書けない学生も多いです。

そこで私の場合は、学生の記録を元にここはどんな思いで書いたのか、どういう意味で書いたのか口頭で質問することにしています。

もちろん圧迫にならないように、です。

すると意外の他学生からすごく良い文言が出てきたりします。

それを書けば良いんだよ、というアドバイスをしたことも多くあります。

 

実際のところ臨床ではそんな細かいところまで使わない。

SNSでこの様な意見が散見しました。

確かにそうだと思います。

しかしそれは前述した通り、一人前の看護師の場合はそこまで細部まで記録として残さなくても出来ちゃうところがあります。

要するに要領の良さがしっかりと身に付いているからです。

学生はどこを削ればよいのか、要領の良さというものが判断しきれない状況にあると思います。

理解しているのかを判断しなればならないという役割も教員は担っています。

そういう意味でも、臨床では実際の所〝頭の中で展開しているであろう内容〟も学生には本当にしっかり考えついているのか、文字として出してもらって確認をしているのです。

臨床で詳細まで使用しないから学生も記録を書く必要は無い訳ではないと思います。

記録に限らず、清拭や陰部洗浄の演習も臨床ではこんなやり方やらないから学生の演習でも必要ないといったご意見も散見しますが、決してそうではないと思います。

演習内容に関しても基礎の部分をしっかりと取得してもらい、あとは現場での応用編としてその現場でのやり方をマスターしてくれればと思います。

同じように記録の書き方もその病院その病棟によって違いがあると思います。

まずは基本的な頭の中でしっかりアセスメント出来て、あとはその現場での記録の書き方に応用していってくれればと思います。

 

私の場合良く例に出すのが車の免許を取る際の自動車学校で習うことです。

例えば踏切を渡る際に窓を開けて音を確認していますか?

実際の応用編として運転している方でそこまでしている方はかなり少ないと思います。

でも車を運転する上での基本だと思います。

同じように看護学校で習ったことは基本中の基本ですので、そこを卒業して看護師の免許を取得したら、あとはその現場にならってさらに成長していってくれたらと思います。

 

一度しっかり書き上げることが学びに繋がる。

最近の教科書はペーパーレスになり紙を使用することは少なくなってきました。

よって実際に紙に書いて追加する、といったことも少なくなりました。

私の個人的な意見になってしまいますが、やはり実際に書いて覚えるということは記憶力に影響しているのではないかと感じます。

統計が取れているわけではないのですが、教科書が電子教科書であったとしてもしっかり自分のノートに手書きでまとめている学生は成績が良い傾向にある気がします。

自身のまとめノートを持たずにすべてタブレットで済ませている学生はちょっと危うい様な印象を持ちます。

実習記録もパソコンにしたら良いのではといった意見も散見しますが、こちらはそのほかに様々な理由があると思いますので別記事で書こうと思います。

一度しっかりと患者さんと向き合い、すべてにおいてしっかりアセスメントすることで、将来的にどこを重点的に情報収集すれば良いか、ここは少し抜いても良いか、といったさじ加減が分かるようになるのではないかと思います。

 

実習記録に関する様々なご意見。

現場の方々から実習記録に関しては様座なご意見が散見します。

例えば実習記録の量について、関連図不要説、記録は手書きじゃなくてパソコンにした方が良い、などなど。

それらに関しては少しずつ私なりの見解を今後書いてきたいと思います。

 

最後に。

私の見解になりますが、看護過程をしっかり勉強しなければならない理由は、学生が一人前の看護師になる過程の中で通らざるを得ないことと認識しています。

その中で特に実習記録のおいて不要な部分があるのではないか、といったご意見も散見しますが、私の認識として現状不要な記録に関してはほとんど無いように感じます。

後はその看護学校の考え方の方針にもよると思います。

なかなか事前に実習記録まで情報を掴むことは難しいかもしれませんが、在学生や卒業生の口コミも掲載しているホームページがあったりしますので確認してみても良いかと思います。