【看護師国家試験対策】『糖尿病』について、まずはココだけマスターしよう!【簡易的なまとめ】

こんにちは、あるいはこんばんは。一匹兎(@pepeopecn)と申します。

元手術室の看護師です。現在は大学で教員をしています。

看護師国家試験対策シリーズ

今回は「糖尿病」について簡易的にまとめてみました。

※あくまで簡潔に、ここだけは最低限押さえておくべきという視点で書いています。

今後の動向により内容を修正していく事も大いにあり得ます。

ポイントにあるキーワードなど自身でさらに調べる必要があります。

またさらにブラッシュアップしていきたいと思っていますので、間違っている部分や最近の傾向など何か情報などありましたらご連絡いただければと思います。

糖尿病は看護師国家試験で毎年必ず出題される重要疾患の一つです。
以下では「ここだけはマスターしておくべき最重要ポイント」を出題傾向+臨床的理解+看護対策の3軸でまとめます。

糖尿病の基本:病態の理解

項目ポイント国家試験的キーワード
定義インスリンの作用不足により慢性的に高血糖を示す疾患「慢性高血糖」「インスリン作用不足」
分類①1型糖尿病:インスリン分泌がほぼゼロ
②2型糖尿病:インスリン抵抗性・分泌低下
「自己免疫性」「生活習慣」
正常値空腹時血糖:70〜109 mg/dL
HbA1c:6.0%未満
「HbA1c 6.5%以上で糖尿病診断」
診断基準空腹時血糖126mg/dL以上 or 75gOGTT 2時間値200mg/dL以上「随時血糖値200mg/dL以上も診断基準」

インスリンの種類と作用時間(頻出図表)

種類代表例作用発現持続時間投与タイミング
超速効型ノボラピッド、ヒューマログ10〜20分3〜5時間食直前
速効型レギュラー30分5〜8時間食前30分
中間型NPH1〜2時間12〜24時間1〜2回/日
持効型ランタス、トレシーバ約1時間24時間以上1回/日

試験の狙われ方:

  • 「食直前に投与するのはどれか?」→超速効型

  • 「夜間低血糖が起きやすいのは?」→中間型インスリン

  • 「混注できない製剤」→持効型(例:ランタス)

低血糖と高血糖の鑑別(必修級)

状態原因症状対応
低血糖インスリン過剰、食事摂取不足、運動過多冷汗・振戦・動悸・意識障害砂糖・ブドウ糖投与、意識障害時はグルカゴン注射
高血糖インスリン不足、感染・ストレス口渇・多飲・多尿・倦怠感水分補給、インスリン投与

鑑別ポイント:

  • 冷汗・振戦 → 低血糖

  • 口渇・多尿 → 高血糖

  • 国家試験では「意識障害+冷汗」のとき→まず低血糖を疑う!

急性合併症(必修+一般問題で頻出)

合併症発生機序特徴看護のポイント
糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)1型糖尿病でインスリン欠乏アセトン臭、K低下、深大呼吸(クスマウル呼吸)水分補給+インスリン点滴+電解質補正
高浸透圧高血糖症候群(HHS)2型糖尿病高齢者で脱水血糖600mg/dL↑、ケトン体(-)脱水補正、インスリン少量投与

よく出る違い:

  • ケトアシドーシス:若年1型、ケトン+

  • HHS:高齢2型、ケトン−、脱水+++

慢性合併症(一般・状況設定で定番)

区分主な合併症看護ポイント
大血管障害動脈硬化 → 心筋梗塞・脳梗塞・閉塞性動脈硬化症食事・運動療法で血糖+脂質管理
小血管障害網膜症・腎症・神経障害定期検査(眼底・尿蛋白)・フットケア指導
神経障害感覚鈍麻・しびれ・自律神経障害(便秘・起立性低血圧)足の観察・褥瘡予防・血糖コントロール

特に出る!

  • 「糖尿病性腎症 → 透析導入の原因第1位」

  • 「フットケア指導の内容を問う問題」

糖尿病の三大合併症(まとめ図)

合併症名障害される部位主な症状・所見看護のポイント
① 糖尿病網膜症網膜(眼の血管)視力低下、失明眼科定期受診、血糖コントロール
② 糖尿病腎症腎臓(糸球体)タンパク尿、むくみ、腎不全尿検査(蛋白尿チェック)、食事療法(塩分・たんぱく制限)
③ 糖尿病神経障害末梢神経(感覚・自律神経)しびれ、感覚鈍麻、立ちくらみ、EDフットケア(足潰瘍予防)、低血圧・便秘対策

糖尿病網膜症(retinopathy)

発生メカニズム

  • 高血糖 → 網膜の毛細血管が障害される
    → 出血・浮腫・新生血管形成 → 網膜剝離・失明の危険

進行段階

  1. 単純網膜症(毛細血管瘤・点状出血)

  2. 増殖前網膜症(軟性白斑・静脈拡張)

  3. 増殖網膜症(新生血管・硝子体出血・網膜剝離)

看護のポイント

  • 定期的な眼底検査

  • 血糖・血圧コントロールの徹底

  • 視力低下による転倒防止

糖尿病腎症(nephropathy)

発生メカニズム

  • 高血糖 → 糸球体毛細血管の硬化・基底膜肥厚
    → 蛋白尿 → 腎機能低下 → 慢性腎不全 → 透析導入

進行段階

  1. 微量アルブミン尿期

  2. 顕性蛋白尿期

  3. 腎不全期(クレアチニン上昇・尿毒症症状)

看護のポイント

  • 尿検査(アルブミン尿)の定期チェック

  • 食事療法:たんぱく質・塩分制限

  • 浮腫・高血圧の観察

糖尿病神経障害(neuropathy)

発生メカニズム

  • 高血糖 → 神経の代謝障害・血流低下
    → 感覚神経や自律神経の障害

主な症状

種類症状
感覚神経障害手足のしびれ・灼熱感・感覚鈍麻
運動神経障害足の筋力低下・歩行困難
自律神経障害起立性低血圧・胃不全麻痺・便秘・ED・発汗異常・無自覚低血糖

看護のポイント

  • フットケア指導(足潰瘍・壊疽予防)

  • 無自覚低血糖の注意

  • 自律神経症状(便秘・血圧変動)の観察

まとめ図解(イメージ説明)

┌───── 糖尿病 ─────┐
│ 慢性高血糖 │
└──────┬──────┘

┌───────────────┐
│ 細小血管障害(マイクロアンギオパチー) │
└───────────────┘
│ │ │
↓ ↓ ↓
網膜の血管 腎臓の血管 末梢神経
→ 網膜症 → 腎症 → 神経障害

国家試験での頻出ポイント

出題パターンキーワード例
三大合併症を選択させる問題網膜症・腎症・神経障害
合併症の順序神経障害 → 網膜症 → 腎症(出現しやすい順)
看護の重点フットケア、眼底検査、尿検査
透析導入原因第1位:糖尿病腎症

食事・運動療法(看護の役割)

内容ポイント
食事療法カロリー制限(標準体重×25〜30kcal/kg)
三大栄養素バランス:炭水化物50〜60%、脂質20〜25%、たんぱく質15〜20%
運動療法有酸素運動(1回30分×週3〜5回)
ただし「尿ケトン陽性」「網膜症重症例」では禁忌
看護食事記録、自己血糖測定の支援、低血糖時の対応教育

自己管理支援(状況設定問題で重要)

  • 血糖自己測定(SMBG)を安全に行う

  • インスリン自己注射の部位・角度(45〜90°)・ローテーション法

  • 低血糖時の家族対応(ブドウ糖常備)

  • 足病変の早期発見(毎日観察・保湿・靴選び)

出題頻度が高いキーワードまとめ

✅ HbA1c(過去1〜2か月の平均血糖)
✅ クスマウル呼吸(深大呼吸)
✅ インスリン混注(持効型は不可)
✅ フットケア指導
✅ 低血糖時の対応(経口摂取 or グルカゴン注射)
✅ 高浸透圧症候群(ケトン体−)
✅ 網膜症・腎症・神経障害
✅ 感染予防(創傷治癒遅延)

【まとめ:ここだけ覚えておけば得点源!】

分野必修ポイント
病態1型・2型の違い
検査HbA1c、空腹時血糖、OGTT
インスリン種類と投与タイミング
合併症DKA・HHS・慢性三大合併症
看護フットケア・低血糖対応・自己管理指導