
こんにちは。一匹兎(@pepeopecn)と申します。
元手術室の看護師です。現在は大学で教員をしています。
現在の看護業界の新人看護師の教育方法はほとんどがプリセプター制度を取っているかと思います。
私が新人看護師だった頃もそうでした。
そして私自身プリセプターとして新人看護師を教育したこともあります。
この記事では初めてプリセプターとして任命された時の新人看護師への対策について書いてみました。
ぜひ参考にしてみてください。
言葉の定義。
まずはそれぞれの言葉の定義を確認しましょう。
プリセプティ…新しく配属された看護師(新人看護師・他病院からの中途採用の看護師など)
プリセプター…プリセプティを指導する直属の担当看護師
基本的にマンツーマンでの指導となる。
基本的に一人のプリセプティに一人のプリセプターが担当することになっています。
私が新人の時はそこにさらにアソシエイトと呼ばれる担当がいました。
アソシエイトとはプリセプターの直属の指導者になります。
プリセプターが新人看護師だった時のプリセプターがアソシエイトになることもあるようです。
相性が悪い時が困る。
基本的に1対1なので、ここで一番のネックがお互いの相性が悪い場合にどうしようもなくなるといった問題があります。
ここばかりは人間対人間の相性もありますから、少しの改善で済む場合とどうしても改善が見込めない場合とあると思います。
その現場の采配になってしまうかもしれないですが、個人的には安易に担当を変更するのではなく慎重にお互いの言い分を聞くなどして継続する方向で進めることを考えて欲しいと思います。
どの様な指導をするのか。
その病棟によって役割が決まっているかも知れません。
私の経験談を元に書いていきます。
基本的には技術面だけでなく精神面でも、所謂躾の様な社会人としての常識的な部分も指導に関わることになると思います。
技術面での指導。
私の場合は手術室でしたので特にこの部分が強かったですが、病棟でもまずは基本的な看護技術について指導することになります。
学生の頃に演習などで実施した清拭や陰部洗浄など基本的な看護技術になります。
看護学校で取得した清拭などのやり方と、所属したやり方を指導することになります。
恐らく看護学校のやり方とかなりの違いがあると思いますので、そのギャップをしっかりと押さえつつ指導すると良いと思います。
看護学校でいくら演習などで練習してきているとしても、ほとんどリセットされている状況と考えていただいて、優しい気持ちで指導していくことを心掛けていただきたいです。
精神的なサポート。
看護援助の技術面だけでなく、精神的なサポートをしていくこともプリセプターの役割です。
プリセプターはおおよそ看護師経験3年目くらいから担当する事も多く(私は看護師3年目で初めてプリセプターになりました)、年齢的にも近いことから良い先輩お姉さんお兄さん役として、精神的にもサポートしやすのではないかと思います。
しかしながらここ最近の○○ハラスメントみたいな部分も大きくなっており、あまり雑な距離の詰め方などは逆に関係性を悪くさせてしまうかもしれません。
最近の傾向を考えつつ精神的なサポートを考えていく必要がある様です。
そこで思うにこのサポートに関してはプリセプターだけでなく、より部署全体のスタッフで関わっていく必要があると思います。
社会人としての常識を教える。
こちらも私の時代と比べると遅れてきているのかもしれません。
そもそも何が常識で非常識なのか、その分別がつかなくなってきていますし、多様性の重視や個性の尊重、○○ハラスメントなど人に常識を教える事自体がナンセンスになってきているのかもしれません。
しかしそこで何も教わらないままだと将来的にとんでもない大人になってしまう様な危機感も感じますが、最近の世の中はその考え自体が古くなってきている様です。
慎重に関係性を築いていく事が必要な時代になったと思います。
1対1ではあるがスタッフ全員で指導・サポートしていく。
基本的には1対1の指導体制ではありますが、その一人にすべてを委ねるのではなく、その部署スタッフ全員でプリセプティーを育てていくイメージです。
私が新人看護師であった〇年前でもその様な体制でした。
特に技術面の指導もそうなんですが、精神的なサポートや社会人としての常識といった部分は一人だけの指導では最近の世の中の傾向として非常に難しいと感じます。
プリセプターとしての責任としてプリセプティをしっかりと育て上げることを思う事は必要ですが、あまりそこで気を負わずに周りの先輩方に助けを求めていきましょう。
私のプリセプティ時代。
今から〇〇年前、私が新人看護師だった時にプリセプターだった方との出会いが、今の私を形成しているといっても過言ではありません。
とにかく〝笑い〟を取ること。
関西の病院ではありません。
私もプリセプターも関西出身ではありません。
それでもこれだけは譲れない、と教えをいただきました。
直接看護援助の技術アップに繋がる訳では無いと思いますが、私の中での看護師として成長に非常に影響を受けました。
そしてその笑いを取ること、関しては大学教員になってもイズムとして残っています。
(最近の学生は笑ってくれませんが…)
私のプリセプターは元会社員で遅咲きの看護師だったのですが、社会人としての常識非常識の辺りは看護師しか知らない先輩に教わるより、非常に勉強になりました。
手術室では業者の方もよく出入りするのですが、業者さんから好かれてもらったのも当時のプリセプターの指導があったからと感じます。
技術面の指導というよりマインドの指導が厳しかった。
技術面に関しては確かに統括としてまとめているのがプリセプターかもしれませんが、その時その時の指導はそれぞれの先輩スタッフによると思います。
私の場合は良く先輩達から可愛がられていたので(厳しく育てられた)、どの先輩に当たっても厳しかったのですが、プリセプターの方はそれを知ってかたまにコンビになる時は優しくしてくれました。
それでも一番緊張しましたが。
その技術面よりも一番厳しかったのは、看護師としてのマインドの持ち方でした。
良く言われたのは、今注意しているのはあんたの為じゃない、患者のためだ、あんたが怒られようが知ったこっちゃない、でした。
自身の保身に走るのではなく、患者のために動きなさい、と良く言われました。
今でもそのマインドは生きています。
そのおかげで大学教員の世界は非常に生きづらいですが。
新たな自分の一面を引き出してくれた。
私は人前で話すのが大の苦手で(今でもなるべく避けたいですが)、かなりの引っ込み思案でした。
看護師として働くにはそれではいけません。
人前で報告などしなければなりませんし、手術室だと特に何か問題が発生した時に自ら大きな声で発信しなければなりません。
その弱さをいち早く察知し、改善するように考えてくれたのだと思います。
現在苦手ではありますが、いざという時は人前でもそれなりに話せるようになってきたと感じています。
まさに精神的支柱となってくれた。
私の場合はプリセプターさんとかなり気が合いましたし、何でも相談できる存在としていてくれました。
そのおかげで新人時代から、かなり厳しかったですけど順調に成長することが出来ましたし、手術看護の魅力にも気付くことが出来て、一生手術看護に携わっていこうという決心にも繋がりました。
この様な存在になることがプリセプターの本当の役割なのかもしれません。
最後に。
主に私の経験談になってしまいましたがいかがでしたでしょうか。
私がプリセプティの頃のプリセプターの対応と現在の様子とは少し勝手が違くなっている様です。
私は現在大学教員となっていますが、一番最後にプリセプターになったのは今から(2025年現在)8年近く前になります。
それだけでも最近の新人看護師事情はかなり変わってきていると感じています。
少し昔のやり方は通用しなくなってきているのかもしれません。
プリセプティをいかに成長させるように指導していくのか、個人間だけの問題にせず部署全体の課題として全員で育てていくことを意識していくことが必要と感じます。