外科的高血糖とは?|糖尿病でなくても血糖測定する理由を整理する

こんにちは、あるいはこんばんは。一匹兎(@pepeopecn)と申します。

元手術室の看護師です。現在は大学で教員をしています。

みなさんは『外科的高血糖』をご存じでしょうか。

私の授業でも取り上げている内容になっています。

今回の記事では外科的高血糖について基礎的知識を身につけていく事を目的としています。

しっかり学修していきましょう。

 

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外科的高血糖とは。

外科的高血糖(surgical stress–induced hyperglycemia)は、糖尿病の有無に関わらず、手術侵襲によって一過性に血糖が上昇する状態のことを言います。

手術などの強い侵襲(ストレス)により、インスリン作用が低下し、肝臓からの糖放出が増加して起こる高血糖です。

そして外科的高血糖はムーアの分類の内容を理解しておくとより深まります。

こちらも参考にしてみてください。

 

ストレスホルモンとは。

手術侵襲により以下が分泌されます。

  • カテコラミン(アドレナリン)

  • コルチゾール

  • グルカゴン

  • 成長ホルモン

これらはすべて
血糖を上げるホルモン

となります。

その他のホルモンは以下のものがあります。

・副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)

・電解質(鉱質)コルチコイド

・糖質コルチコイド

抗利尿ホルモン(ADH)

・ノルアドレナリン

・レニン

・心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)

 

糖新生を理解しておく。

外科的高血糖を理解する上で糖新生について知っておくとより深まります。

☆新糖生☆

新糖生とは体内で糖を新たに合成するプロセスのことを言います。

糖の供給が促進される動きになります。

・肝臓に貯蔵されているグリコーゲンはグルコース(ブドウ糖)へ分解される。

・筋タンパク質や体脂肪の分解。

※体内に保存されている糖分(グリコーゲン)がなくなり、外部からの糖分の補給が途絶えたときに起こる。筋タンパクや脂質を分解して糖(グルコース)を作り出す反応。

これは術後に起こる外科的高血糖の要因にもなり得る所です。

ストレスホルモンの影響により、手術による侵襲の影響で高血糖が起きやすい、と覚えておきましょう。

 

改めて外科的高血糖について理解する。

改めて外科的高血糖について理解しましょう。

外科的高血糖とは、術後の回復過程において生理的反応として血糖値の上昇が生じることです。

外科的侵襲⇒交感神経活性化⇒ 抗インスリン作用をもつホルモン(成長ホルモン,グルカゴンなど)⇒インスリン抵抗性の増加やインスリン分泌能低下し糖新生亢進となる。

グリコーゲン産生の亢進⇒高血糖状態

ここで注目すべきは、※糖尿病でなくても発生する。

ということです。

さらに糖尿病患者の場合さらに悪化することが予想されます。

侵襲によってインスリンが上昇しますが、成長ホルモンの分泌で遊離脂肪酸の濃度も上昇します。

遊離脂肪酸はインスリンに拮抗する作用をもち、糖新生がインスリン作用を上回り、血糖は上昇傾向になります。

 

特徴を表にまとめてみました。

項目特徴
発症時期術中~術後早期
持続数日~1週間程度
対象糖尿病・非糖尿病どちらも
程度180~300 mg/dL以上になることも

大まかな血糖値の目標値は以下になります。

そこまで厳密な管理は必要無いようです。

低血糖の方が恐いのでそれよりも若干高めでも許容範囲といった印象です。

時期目標血糖値
周術期全般140~180 mg/dL
ICU管理下110~180 mg/dL

 

糖尿病でもないのになぜ血糖値を測定するのか。

特に看護学生は実習をする際に疑問に思った事はありませんか?

糖尿病でもないのに手術前や手術をした後に血糖値を測定する場面を見た事はありませんか。

しかも何回も測定する訳ではなく、1回限りの場合も多くあります。

その理由はまさにこの外科的高血糖を起こしていないだろうかという確認になります。

※糖尿病の既往がある患者さんの場合、外科的高血糖が起こりやすくなります。

特に既往がある場合は注意して観察していく必要があります。

 

それに加え、実は糖尿病の既往が無い場合に高血糖が起きた時、重篤になりやすいので注意が必要です。

その辺りの理解が薄いと、糖尿病じゃないのになぜ血糖測定するのだろう、と疑問のまま過ぎて行ってしまいます。

 

外科的高血糖によって起こる術後合併症について。

外科的高血糖の時点で術後の経過がよろしくないのですが、それのせいで他の術後合併症にも影響してきます。

特に

・創部治癒遅延 ・縫合不全 ・感染症 などが起こりやすくなります。

こちらは外科的高血糖に限らず、糖尿病の既往があるだけで起こりやすい術後合併症になります。

こうなると当然術後の観察に注意する必要がありますので、日々の看護計画に書いていくと良いでしょう。

 

最後に。

外科的高血糖は正直難しい話の部類に入るかもしれません。

しかしこれらの事をしっかり理解しておけばその他のことについても理解がどんどん深まっていきます。

術後看護はただでさえ難しいと思う所ですが、ここを基盤に考えていけるとどんどん繋がっていきます。

めげずに諦めずに頑張っていきましょう!!

 

外科的高血糖は、単に血糖値が高いという話ではなく、手術侵襲に対する生体反応として理解すると整理しやすくなります。

「授業で聞いたけれど少し曖昧だった」
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