
手術室看護師は本当に使えないのか?【私情を挟んだ見解】
こんにちは。一匹兎(@pepeopecn)と申します。
元々新人から手術室に配属され、その後大学にて教員をしております。
私が看護師をしている時代から、現在になっても良くこの様なことを耳にします。
『手術室看護師は使えない』
ハッキリ言って心外です。
私が新人時代からと比べたら少なくなってきたなという印象ですが、未だにたまに聞かれるのが事実としてあります。
・手術室看護師は本当に使えないのか(私情を挟んだ見解)
特にベテランさんに多いイメージがある。
『手術室看護師は使えない』と言っている方はベテランさんに多いイメージがあります。
現在は比較的若い看護師を始め、管理者の方でも手術看護に必要性を唱えてくる方も多くなってきていますが、やはりまだまだ使えないと感じる看護師が多いのかなといった印象です。
残念ながら看護教員の中にもその様に考えている教員も一定数いることが分かりました。
たまたまその様な教員に出会っただけかもしれないですが、
「患者とコミュニケーション取れない奴は手術室に行けばよい」
「基本的な看護技術が出来ない看護師は手術室に行けばよい」
「患者とトラブルを起こす様な看護師は手術室に行けばよい」
これらは私が実際に教員から言われた言葉です。
非常に残念に思いました。
しかしながら、教員だけはなくこの様な時代は一昔前からあった様です。
看護管理者が積極的に手術室に送り込んでいた過去があったのです。
看護を教えている教員がその様な意識にあるんじゃ手術看護の発展は難しいと感じました。
手術看護の発展は私の大学教員としての目標でもあります。
ここは譲らずに頑張っていかなければならないと強く思いました。
なぜ使えないというイメージなのか。
基礎的な看護技術を使う機会が少ない。
前述した通り、基礎的な看護技術が出来ない看護師は手術室に行けばよい、確かに手術室では基礎的な看護技術、例えば清拭やおむつ交換などをする機会は少ないです。
ですが実は全く機会が無いわけではありません。
全身麻酔をかけた瞬間に筋肉が緩み、便が出てしまう場合もあります。その際は当然、おむつ交換をします。
Baカテの挿入も患者さんの意識はありませんが、全身麻酔の際は実施します。
しかし、病棟看護師に比べて機会が少ないのはハッキリしています。
正直、不慣れと言って過言ではないと思います。
ですが、ここでちょっとだけ反論。
現在の病棟では看護師より介護士や看護助手にお任せする場合が多いと思います。
実際基礎看護技術を実施する機会が凄く多いかといったらそうでもないのかなといった印象です。
特に清拭に関してはタオルを渡して終了、なんてことも多いのではないでしょうか。
病棟へのお手伝いシステムが使えないイメージを助長する。
みなさんの病院にはありますか?
手術室にて手術件数が比較的少ない時、休みなどで数が足りなくなった病棟へお手伝いに行くシステム。
ここぞとばかりにお手伝いを申しつけられます。
私も経験がありますが、ちょっと疑問だったのは感染部屋や重度の患者さんのお手伝いを命ぜられ、病棟看護師は雑談しながら記録をしていました。そして、「まだ終わらないの?」という一言もありました。
もちろんそのような看護師だけではないことは承知しています。
しかし、想像もしてみて欲しいのです。いきなり知らない病棟に行っていきなりそこでいつも働いている看護師の様に動けますか?
物の場所も病棟ごとに違います。病棟ごとの独自ルールがあってそれぞれのルールごとに動かなければなりません。
なかなか厳しいものがあります。
余談ですが、様々な病棟のお手伝いに行っている手術室看護師の方が病棟ごとの独自ルールによってお手伝いにいく病棟ごとへの対応の違いに困っている場面を見かけることがあります。
過去の良くない認識からくるイメージ。
前述でも少し触れましたが、一昔前では病棟で患者さんとトラブルになる看護師や、コミュニケーションがうまく取れない看護師を手術室や中材業務へ〝追いやる〟ことが良しとされていた時代があります。
私のバイブルでもある書籍の土藏愛子さんが著書の『』という書籍にも同じような事が書かれています。
つまりは手術室に〝出来ない〟看護師を送り込むことは昔から行われていたことで、そこまで古い歴史でもなく、まだまだその様なイメージが残っていると考えられます。
結果的に病棟看護師の期待する様な動きができない。
この様な状況もあり、また今までのイメージの面もあり、病棟看護師の期待する様な動きをすることが出来ないからと考えています。
いくら過去に病棟経験のある手術室看護師がお手伝いに行ったとしても病棟ルールなどによって本来の実力が発揮できないでしょうし、動きも鈍くなる事必至と思います。
その動きの鈍さが益々悪いイメージを植えつけてしまうことに繋がっていると考えます。
では本当に使えないのか?
〝使える〟場所の問題。
だと思います。
要するに自分の〝所属する病棟〟で使えるか使えないか、の問題だと思います。
恐らくですが、病棟看護師でもいきなり行った事のない病棟のお手伝いに行けばあっという間に〝使えない〟看護師になってしまうと思います。
正直、手術室では〝使える〟看護師なのです。手術室看護師として一人前の看護師なのです。
〝使える〟という認識自体が本当は間違っているのかもしれません。
なぜ病棟看護師の手術室へのお手伝いは無いのか?
手術室看護師の病棟へのお手伝いはあっても、病棟看護師の手術室へのお手伝いはありません。
どんなに手術室が忙しくても、です。
恐らく〝使えない〟からでしょう。
喧嘩を売るつもりはまったくありません。
でも結局平たく言えばそういう事なのだと思います。
手術室の業務はかなり特殊です。
経験が一才無い病棟看護師がお手伝いに来ても何もできないでしょう。
それなら〝一応〟基礎看護技術ができるハズの手術室看護師が病棟のお手伝いをする方がまだ使えるのではないでしょうか。
個人的には病棟お手伝いのシステムの廃止を願う。
いらぬ争いと手術室看護師の〝使えない〟イメージを益々増やしてしまう恐れがあるからです。
決して、お手伝いなんてやってらんねーぜということではありません。
忙しいのはお互い様なので、手が空いていたらお手伝いをすることは良い事だと思います。
ですが、やはり使えないとか言われ出すと手術室看護師のモチベーションも非常に下がります。
依頼を受けてお手伝いに行って使えねーと言われ、落ち込んで帰って来る若手の手術室看護師も多くいました。
これを続けていくくらいなら廃止しても良いのでは?思います。
病棟と手術室、仲良く連携してきたいですね。
まとめ。
私の個人的な意見としては手術室看護師が〝使えない〟という理由として、不慣れな病棟へのお手伝いや手術室の業務の看護とは少し離れた業務内容が影響していると考えています。
ただそれは自分場所で使えるか使えないか、の問題であって自分の本来の部署であれば誰しもが使える看護師だと思います。
そもそも他人を使える使えないといったものさしで見るのではなく、上手く病棟と手術室で連携していければ良いですよね。
今回の記事は少し辛口な部分も出てしまいました。
良からぬ表現があったら教えてください。
今後ともよろしくお願いいたします。