【手術看護】術前訪問ではどんなことに注意するのか・患者さんへの対応【私情を挟んだ見解】

【手術看護】術前訪問ではどんなことに注意するのか・患者さんへの対応【私情を挟んだ見解】

こんにちは。一匹兎(@pepeopecn)と申します。

手術看護に携わっていると必ずと言って話題に挙がり、課題となっているのが術前訪問だと思います。

最近では術前訪問100%達成を目指す手術室も多く、しかも達成できている手術室もかなり多くなっている印象です。

素晴らしいと思います。

しかしながら、ではどの様な事を考えながら術前訪問をしていますでしょうか。

今回の記事では術前訪問の時に意識するべきことに関してまとめています。

ぜひ参考にしていただければと思います。

 

この記事で分かる事
・術前訪問ではどんなことに注意するのか、患者さんへの対応【私情を挟んだ見解】。

どんなことを情報収集するのか。

血液検査データ

麻酔科の先生は特にチェックしているかと思いますが、手術室看護師も血液検査データの確認は必要です。

例えば腎機能や肝機能、糖尿病などの既往歴、貧血があるかなど、血液検査データを見るだけで判断できることが多くあると思います。

それらの既往歴や血液検査データの異常を知ることで、術中の対策が何かしら考え付くかもしれません。

麻酔科との協働も非常にスムーズなりますし、医療チームとして一つの手術を安全安楽に進めていこうとするマインドにも繋がると感じています。

 

既往歴の確認。

検査データを確認することと重なる部分もありますが、患者さんの既往歴をあらかじめ確認しておくことも非常に重要です。

術中・術後に起こりやすい合併症の予想が付きますし、その対策を事前から考えることが出来ます。

麻酔科の先生も十分に確認しているハズです。

特に呼吸器の疾患や循環器系の疾患がある場合などは全身麻酔を行うことで患者さんの身体がそれに耐えられなくなって、逆に大きな侵襲となり、術後の回復が見込めない場合もあります。

患者さんの状態によっては手術中止になる場合もあり得ます。

しかし、その辺りの判断は執刀医の先生が事前に確認してから手術申し込みをすることが多く、手術室のスタッフに行きつく前に気付くと思います。

ですが、例えば緊急手術の場合はそんなことを言ってられない状態で手術をする場合もあります。

急がなければいけない状況であっても冷静に情報収集する必要があります。

もちろん、その既往歴が全身麻酔や手術にどのような影響があるかどうかをしっかり理解しておく必要があります。

 

アレルギーの有無。

既往歴と同じ様に感じるかもしれませんが、意外とアレルギーの有無に関しては見落としがちです。

特に、そこまで大きくない手術、眼科や耳鼻科などの手術では気持ちもそこまで張り詰めていない場合もあり、うっかり見落としてしまう可能性が高くなります。

特にラテックスアレルギーや卵アレルギーには注意です。

ラテックスアレルギーは手術室で使用している手袋や尿道カテーテル、卵アレルギーだとディプリパン(プロポフォール)という薬が使えません。

このアレルギーに関して事前に知っておけば、手術前から何かしらの対策を考えることが出来ます。

 

金属類、義歯、ネイル、かつらなどの有無。

ある程度手術看護について勉強したことがある方はこの辺りの確認事項が理解できると思います。

金属類、例えば指輪など見つけていると、術中に使用する電気メスの影響で火傷をする可能性があります。

義歯を付けていると、挿管チューブを挿入する際に邪魔になりますし、ネイルはSpO2を測定する際にちゃんとした測定値が出ない可能性があります。

ネイルもですが、ジェルネイルがやっかいです。

専門のお店でしか外すことが出来ないので、入院前に外していただかないといけません。

その場合は外来との連携も必要になります。

中にはかつらを使用している患者さんもいます。

さらに家族には内緒にしているなど…対応に困ります。

(昔の)かつらには金属があり、それが原因で火傷になる可能性があります。現在は〝良い〟かつらになっているらしく(私はまだお世話になっていませんが)大丈夫な場合もあります。

かなりセンシティブな部分でもあるので、慎重に確認する必要があります。

 

患者さんの訴えは無いか。

術前訪問時に患者さんと直接コミュニケーションを取るので、その際に聞いても良いのですが、事前に患者さんの訴えや思いが分かれば、把握した状態で術前訪問に行った方がより患者さんとの関係性を築くことが出来ると思います。

例えば手術に対して事前に不安を強く訴えている患者さんの術前訪問に行く際、その時に聞いて対処するより、事前に情報として入手していれば何かしら対策を考えながら話ができると思います。

実際の業務の中でいくら事前に情報を入手していても急がしくて何も準備できないと思います。

ですが、コミュニケーションの取り方に微妙な違いで出ると思いますし、その微妙な違いが繊細な状況にある患者さんの心に届く時があると感じます。

患者さんにかける言葉に違いが出ると思っています。

 

患者さんの本音を知る。

手術を受けるという事は非常に不安です。

特に全身麻酔や、大きめの手術の場合の不安感を非常に大きいと予想されます。

私も大学生の時に全身麻酔で扁桃腺を摘出する手術を受けたのですが、前日はやはり緊張感が凄かったです。

手術が失敗したら?

もしかして全身麻酔から目が覚めなかったら?

などなど

不安は尽きません。

ですが、医師や病棟の看護師にその不安感を素直に表現できない場合もあるかと思います。

 

その時は、実際に手術に関わる手術室看護師に不安な気持ちを表出する時があります。

私の経験では術前訪問時に患者さんに説明をしている時に、あまり言えなかったんだけど本当は凄く不安で…と気持ちを表出された患者さんがいました。

気持ちを傾聴して、少し長めに時間を取りながらお話しをすることで若干ではありますが不安感が軽減できたようです。

手術後に術後訪問をしたのですが、あの時の関りがあったから不安が和らいで良かったとのお言葉をいただき、手術そのものに関わるだけではない手術室看護師の役割について実感した出来事になりました。

 

一生に一度になるであろう経験。

恐らくですが、人生の中で全身麻酔で手術を受けることは人生で一度あればといったところでしょう。

そこに手術室看護師として立ち会う事は大きな責任が伴うと感じます。

患者さんは執刀医を始め、手術に携わる医療者に委ねなければなりません。

その状況と患者さんの心理を把握し、患者さんに寄り添うことが出来るのは手術室看護師だと思いますし、しっかりと対応しなければならない立場にあると感じます。

手術室看護師にとって毎日の仕事の1件の手術かもしれませんが、患者さんにとって人生に一度きりのビックイベントであることをよくよく自覚して仕事をする必要があると感じます。

 

最後に。

最近の手術看護の発展として、術前訪問と術後訪問に力を入れているなと感じます。

私個人の考えになってしまうのですが、手術室看護師の本分はまずは手術自体を安全・安楽に終わらせることだと思います。

ですので、まずは手術の術式や知識・技術を身につけることから始まると感じます。

その上で患者さんとの関わりになると思います。

もちろん、患者さんとの関わりは非常に重要です、

やるべきことと感じます。

ですが、そこを先行するよりまず、手術そのものに対する知識技術と感じます。

その知識・技術を患者さんとの関わりに活かすのです。

これが手術室看護師としてレベルが高いと感じます。

 

賛否両論あるかと思います。

ぜひご意見ご感想をいただければと思います。