
こんにちは。一匹兎(@pepeopecn)と申します。
元手術室の看護師です。現在は大学で教員をしています。
現在(2025.8.20)、1児の女児を育てるパパでもあります。
私は読書が趣味と言えるほど本を読んできた訳ではありませんが、特に高校時代から気になる本は手に取り、人並みよりちょっとだけ多く本を読んできた方だと感じています。
ここ最近では忙しさにかこつけてあまり読書と言うものから遠ざかってしまっていたのですが、ふと書店に寄った際に思わず目を引いてしまった本がありました。
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こちらの本です。
その名も『科学的根拠で子育て』、著者は中室牧子さんです。
(本当に申し訳ないのですが、初めて著者の方を知りました。もっと勉強いたします。)
私も子育てと言うものを現在進行形で進めているのですが、娘も小学生となりそれなりに自我が芽生えてきて友達関係や学校での過ごし方など、宿題がどうだなど、親としてこれは本当に効果があるのだろうかといった悩みではないですが、疑問が浮かんできていました。
そこで見つけたのがこちらの本になります。
科学的根拠と言うとエビデンスという言葉の方が聞き馴染みあるかと思います。
そしてこの本ではエビデンスと言うだけあって、数字で示している部分が非常に多い。
つまりはデータで説明してくれている所が非常に私に合っていると感じ、私の中で腑に落ちる部分も非常に多くありました。
私は一応、大学教員ということで研究も少しかじっているのですが、数値化やデータ化されていることって非常に興味が沸く内容でした。
今回の記事では【読書感想文】として私が実際に読んでみての感想を含めてお勧めの書籍をご紹介していくコーナーにしていきたいと思います。
お付き合いくださいませ。
※ここから先はネタバレを含む場合があります※
なるべくネタバレにならないように配慮しますが感想を述べる以上少々内容を付け加える場合があります。
もちろん全編を事細かに書くわけではありませんので、こちらの記事を読んだ所で書籍を読んでも充分にお楽しみいただけると思います。
ともかく数値化、データ化で子育てのエビデンスを示す。
一貫しているのがそれぞれの子育ての方法と結果についてテーマに沿って書かれているのですが、そのほとんどが数値化やデータ化されたものになっています。
例えばこの様なことをしたら、これくらい確率が挙がった、もしくは効果が無かった、など。
あくまでただの数字かも知れませんが、それが一番の説得力になっていると感じます。
数字だけ見ると微々たる変化と感じる部分もあり、結局の所ちょっと可能性が高くなったところで全部がそうなる訳ではありません。
しかし、現実として確率が挙がったという事実を示しながら説明しているので非常に説得力があると感じます。
ちょっとだけ確率が挙がっただけじゃないか、まだそうならない確率の方が大きい、という考えですとこの数値化やデータ化を見てもピンとこない方もいるかもしれません。
凄いと思ったのが、この本を書き上げるために参考にした図書が250冊を超えていることです。
特に海外の書籍が目立ちました。
これが日本ではどうなっているのかといった部分まで説明してくれていますので非常に分かりやすいです。
この本を書くのにかなりの労力を費やしたことが想像できます。
これを全部実践したからといってこの結果になるとは限らない。
この部分を履き違えると一気に読む気が失せるかもしれません。
そしてこれを参考に実施して結果が出なかった場合、期待外れの本として不満を漏らす人もいるかもしれません。
恐らくこの著書ではそこまでの保証で書いているものではないと思います。
あくまで、数値化することで一定のエビデンスを示している訳で、100%そうなるといったことをアピールしているわけではありません。
そこを理解して本書を読み進めると良いと思います。
どうもこのやり方だと可能性が高くなるらしい、でも最終的には一番近くにいる親が子どものことをしっかりと見てあげることが、最終的には必要になるのではないかと感じる所でもあります。
ここから先では本書を読んでみて私が気になった項目を挙げてみたいと思います。
将来の年収を上げるにはスポーツとリーダー?
実際のデータに関しては本書を読んでいただきたいとして、気になる項目がありました。
学校でスポーツ系の部活、またはリーダーを経験したことがある子どもは将来年収が上がるということです。
スポーツ系の部活に通わせていると良く聞くのが、その分勉強の時間が少なくなり成績が落ちるといった話です。
こちらの本ではその辺りは心配ないと書いています。
スポーツ系の部活をしているから成績が落ちるといったことは無いとのことです。
個人的にはスポーツをすることは基礎体力の向上と維持に関わっていて、大人になってからの体力に関係するのかなと思っていましたが、勉強の方はあまり関係が無いようです。
そしてスポーツをしていたりリーダーを経験している方が就職試験の採用試験時に有利に働くことが分かっています。
私の教員としての経験則になりますが、何となくですがリーダー経験をしたことがある学生は確かに物事への理解度が早いと言うか聞き分けがあると言うか、理解力が高い気がします。
そもそもその様な能力を持っているからリーダーになるのかもしれませんが、その能力がリーダーを経験することによって養われていくのではないかと思います。
学生の就職試験の支援をする際に履歴書を見たりするのですが、やはりリーダー経験をしていると書きやすいネタが多くあるように感じます。
非認知能力の伸ばし方。
所謂テストなどで数字として出てくるのが認知能力、それとは別に忍耐力やリーダーシップ、責任感など数字では測りにくいものを大まかに非認知能力としています。
この非認知能力を伸ばすことが将来年収が上がったり、出世していくことになります。
これに関しては私も薄々感じてはいたのですが、ちゃんとしたエビデンスも聞いたことが無かったので今回非常に勉強になりました。
本でも書かれていたのですが、確かに学生時代はテストの点数で優秀かどうかを決められていましたが、社会人になったらむしろテストの成績ではなくどれだけ気を遣えるかといった部分や責任感や適応力みたいな、所謂非認知能力が重宝されている傾向にあると感じます。
所謂仕事ができるという部類もこの非認知能力の高さが伺えます。
しかしながら学生時代は学力が優先されて、社会人になった途端に別な能力が重宝されるとはなかなか難儀ですよね。
学生が社会人になってからのギャップに苦しむのにはこれらも影響しているかもしれません。
さて本書ではこの非認知能力を伸ばすことの重要さと、どうやって伸ばしてくのかといった所にデータを用いて説明してくれています。
私も社会人になり年数が経ちましたが、この様な非認知能力を子どものうちからしっかりと鍛えるべきであったと後悔しています。
歳を取るにつれ段々と〝勝手〟が分かってくるので、それでもある程度は成長するのでしょうが、やはり本書の通り学生時代に伸ばすような経験をしていたのとしていないのとではスタートダッシュが違うのかもしれないと感じます。
目標を立て、習慣化し、チームで取り組む。
こちらの項目は他の書籍や、良くスポーツ選手なんかで成功した方の書籍などで見かける言葉です。
言うのは簡単ですがなかなか実践するには難しい内容です。
しかし、やはりデータで見ても目標をしっかりと立てて、それを習慣化することは成績を上げる事には非常に有効であるとのことです。
少し気持ちが乗らない部分も否めないかもしれませんがここは時間をかけてでもじっくりと取り組んでいかなければならない所の様です。
私が本書を読んでみて一番の驚きは、
成績の良い学生と悪い学生を一緒のグループにすることで、成績の悪い学生が相乗効果で成績が良くなるとは限らない、といった部分でした。
成績の悪いグループ同士で組んだ方が成績が上がったというのです。
こちらは大学教員をしている私でも目から鱗でした。
なぜならば意図して成績優秀な学生とそうでない学生が上手く混ざるようにグループ分けをすることが多かったからです。
それで一定の成果を得られていると勘違いしていた可能性があるかもしれません。
ここで注目は、成績の悪い学生が良くなることは無いが、成績の良い学生が悪くなることも無い、様です。
つまりは、教員サイドで成績の悪い学生を引っ張って欲しくて混ぜてグループを作成しても、教員サイドの意図した効果は見込めないことになります。
幸いにも成績の良い学生の逆効果になることは無さそうです。
ここに関しては私も大きい勘違いをしていた可能性があります。
今後の私のグループ編成でもしっかりと確認していくことが必要と感じました。
結局、教員こそが教育の核である。
本書にはこの様な文面がありました。
結局の所、非認知能力を伸ばすことも含めて教員の力量や教員が関わることでどう伸ばしていけるのか、と言った部分が大きくなると書かれています。
現在ではAIなども発展して様々な教育方法が出てきていますが、結局の所人と人との関わりが重要と感じました。
本書では主に小学校の教育の際のデータを活用していますが、大学教育に携わっている私も自身の子育てだけでなく、学生への対応や指導の方法に非常に参考になるデータでした。
そして、教員こそが教育の核である、という言葉を再認識し、今後の私の大学教員生活にも役に立てて行きたいと思いました。
最後に。
初めての企画で読書感想文として書いてみましたがいかがでしょうか。
ここに書かれていること以外にもに非常に内容が濃厚で、この他にも参考になるデータが非常に多くありました。
特に小学生の子育てをしているママパパ、教育に携わっている教員の皆様はぜひ読んでいただきたい内容になっていると感じました。
子育てについて科学的根拠(エビデンス)を示しながら説明していく内容は、少しばかり研究に足を突っ込んでいる私としても非常に面白く読み進めることが出来ました。
〝人を育てる〟為のヒントがたくさん詰まっている本だと思いました。
教育経済学、行動経済学については少し興味があったのでこの先も勉強していこうかなと思います。
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