【看護学生向け】関連図を書く時にお勧めする書籍10選【まずは読みたい書籍厳選】

こんにちは、あるいはこんばんは。一匹兎(@pepeopecn)と申します。

元手術室の看護師です。現在は大学で教員をしています。

この記事では看護学生向けに関連図を書く際にお勧めする書籍を比較検討しながら紹介していきます。

「関連図(看護過程のアセスメント→看護診断→計画→実施→評価)」を書く際に特にお薦めの書籍を、目的別に詳しく整理してご紹介します。

看護学生だけでなく看護師にも活用できる、実習・実践両方に役立つものを選びました。

書籍を選ぶ際のポイント

関連図がうまく書けるようになるために、書籍選びで確認しておいた方が良いポイントを先に整理します。

お薦め書籍3選(+α)

以下、特に「関連図を書く/関連図を活用する」視点で優れた3冊を挙げ、さらに+αで補助的に使える本もご紹介します。

1. 『病期・病態・重症度からみた疾患別看護過程+病態関連図 (第5版)』/井上智子 編(医学書院)

  • 概要:多数の疾患を「病期・病態・重症度」の視点から整理し、各疾患で「病態関連図」まで掲載されている定番書。

  • 特に良い点:

    • 病態→看護過程の流れが明確で、関連図を“どう組み立てるか”の骨格を学べる。

    • 実習・初期臨床の看護師にとって、「どこをアセスメントすべきか」「看護問題は何か」「どんな看護が考えられるか」の整理に役立つ。

  • 使い方のヒント:

    • 実習で担当患者が出た時、この本で同疾患の「病態関連図」を確認→自分の担当ケースに当てはめて関連図を描く。

    • 関連図を描いたあとに、本書の図と比較して、自分の矢印・因果関係が適切かチェックする。

2. 『エビデンスに基づく疾患別看護ケア関連図 (第3版)』/阿部俊子・山本則子・五十嵐歩 編(中央法規出版)

  • 概要:よく出会う25疾患について、誘因・原因→病態生理→症状/検査→看護ケアという流れを“関連図化”しているもの。

  • 優れている点:

    • “看護ケア”に即した関連図なので、看護実践に近く、学生でも使いやすい。

    • 実務的な視点があるため、関連図を書くだけでなく、そのまま看護計画・実施にもつなげやすい。

  • 使い方のヒント:

    • 実習終了後、振り返りに「このケアの流れはこの図で表せたか?」と自分の関連図と本書の図を照合。

    • 看護問題からケアまで“矢印でつなぐ”関係を、図を模写して理解。模写すると記憶に残りやすい。

 

3. 『ストレングスからみた精神看護過程+全体関連図』/萱間真美 編(医学書院)

  • 概要:対象者の「強み(ストレングス)」も視点に入れた精神看護過程の書籍で、全体関連図も掲載されており、精神領域・地域・在宅など幅広く使える。

  • 特に良い点:

    • 精神看護・在宅・地域ケアなど、看護問題が「継続・多層」になりやすい場面での関連図作成に強み。

    • 生物‐心理‐社会(BPS)やセルフケアといった視点も併載されており、関連図を“多面的”に描ける。

  • 使い方のヒント:

    • 精神・地域・在宅実習で担当が出た際に、この書で“強みを活かす”視点=関連図にポジティブ要素を入れてみる。

    • 単に「問題→ケア」だけでなく、「強み→活かすケア」まで矢印を伸ばして自分の関連図を豊かにする。

 

補助的に便利な書籍・資料

上記3冊を主に使いながら、以下のような補助資料も併用すると関連図作成力がさらに上がります。

  • 『関連図の書き方 基本編』(蔵谷範子 編著):「関連図をどう構成するか(テンプレ/手順)」に特化したガイド。
  • 『看護のための臨床病態学』(浅野嘉延 他) :関連図作成時に「病態生理を知る」ための基礎書。実習・関連図準備に“これ一冊”という口コミあり。

  • 『看護診断ハンドブック 第12版』(医学書院) :看護診断~看護問題の整理に便利。関連図の“看護問題”を明確にする時に役立つ。

合った活用法の提案

学生・実習前の場合

  • 実習に入る前に「関連図を描くための流れ」を掴んでおきたいなら → 『関連図の書き方 基本編』を先に読んで “型” を把握。

  • 担当が出そうな疾患があらかじめわかっていれば → 『病期・病態・重症度からみた疾患別…』でその疾患の関連図をチェック。

  • 実習中・実習後に振り返り・次に活かしたいなら → 『エビデンスに基づく疾患別看護ケア関連図』で、ケアまでを含めた流れを確認。

現任・若手看護師の場合

  • 臨床で「この看護問題とあの看護問題のつながりが曖昧だ」と感じているなら → 『ストレングスからみた精神看護過程+全体関連図』のように、少し視野を広げた関連図で整理。

  • 専門領域(例えば精神・在宅・地域)に関わっているなら → 該当領域の関連図特化本を使って、自分の実践ケースに落とし込む。

  • チームで看護過程・関連図を共有・教育する場面なら → 書籍を“演習用教材”として使い、関連図をスクリーンショットして説明資料にすると良い。

 

実用的に使える図テンプレート&描き方手順が詳しく載っている書籍/ワークブック 10冊を比較表にまとめました。

実習に使う、臨床でそのまま活用する、病態理解を深めて関連図に落とし込む、精神領域での関連図の書き方を学ぶ…など目的別に拾ってあります。

各行の最後に出典(ウェブの書誌ページ)を付けているので、版・刊行年や詳しい目次はそちらで確認できます。

比較表(10冊)

No書名(簡略)著者/編集出版社(刊行年)対象(Who)何が強みか・テンプレ有無
1疾患別看護過程+病態関連図(病期・病態・重症度からみた)

井上智子 編医学書院(最新版版:第5版 2025)実習生〜臨床看護師疾患ごとに「病態図」「看護過程フローチャート」を網羅。病態→観察→看護問題→計画までのテンプレ/サンプルが豊富。 医学書院+1
2エビデンスに基づく疾患別(看護ケア関連図)

編者複数(症状・疾患別)中央法規出版社等(改訂版あり)学生・新人〜実務者病態→看護ケアまでつながる「看護ケア関連図」を収載。実務で使える図と短い手順解説がある。テンプレ的に使える図が多数。 note(ノート)
3症状別看護過程+病態関連図

井上智子 ほか医学書院(第3版など)実習生・看護学生「症状」単位で62例を取り上げ、病態関連図と観察・対応の流れ(テンプレ)を提示。実習記録→関連図作成に直結。 医学書院
4関連図の書き方をマスターしよう(改訂・増補版)

蔵谷範子 他医学芸術社 / SCIO等初学者〜教育者「関連図を書く手順」「事例展開」「複数の書き方スタイル」を体系的に解説。ワーク式事例と図のテンプレが学べる入門書。 scio-pub.co.jp+1
5自分で描ける病態関連図

諏訪赤十字看護専門学校編(山岸節子 ほか)照林社(2000)学生向け(入門)初学者が「自分で描く」ことを重視した実践ワーク中心。ステップ・テンプレを示す実用書。※古い版だが図は実用的。 Amazon Japan+1
6看護診断ハンドブック(NANDA系訳)

Linda J. Carpenito(訳・監修あり)医学書院(第12版ほか)臨床〜教育(看護診断を使う全員)看護診断の定義・関連因子・アセスメント指標が豊富。関連図作成時の“看護問題の書き出し・精査”に最適(図テンプレではなく診断→因果の整理に強い)。 医学書院+1
7看護につなげる病態生理(よくある症状の仕組み)

齋藤宣彦 ほか照林社(ナース向けテキスト)病態理解→関連図作成の基礎学習者「症状のメカニズム」を図解で丁寧に示す。病態を正確に図に落とし込むための基礎力養成書。テンプレ付きではないが図解が豊富で参考になる。 楽天市場
8イラストでわかる病態生理(なぜ症状が現れるのか)

日本語版翻訳・編集総合医学社等(邦訳版)実習生〜臨床フルカラーで多数の疾患を図示。視覚で病態→症状の因果関係を把握でき、関連図を作る時の“元図”として有用。 総合医学社
9関連図と検査で理解する 疾患・病態生理パーフェクトガイド

編著(実務寄り)M3/電子書籍等臨床で素早く図を参照したい人「疾患ごとの病態図+主要検査」をコンパクトにまとめ、関連図作成の材料が集めやすい(参照性高)。 m3.com 電子書籍
10これからの精神看護学 — 関連図を用いた解説

森 千鶴・他出版社(精神看護系)精神看護の学生/実務者精神領域での関連図(強み・社会的要因を含めた図)を多数掲載。精神・在宅・地域の複雑な因果を図式化する学びに直結。 Amazon Japan

使い分け(短く)

  • 「まずは書き方を学びたい」 → #4『関連図の書き方をマスターしよう』が最短ルート。実例+手順で手を動かせます。

  • 「疾患ごとのテンプレをそのまま借りたい」 → #1『疾患別…病態関連図』/#3『症状別…』が図とテンプレが豊富で実習ですぐ使える。 

  • 「病態生理を図で深く理解して関連図に反映したい」 → #7・#8(病態生理の図解書)が元ネタとして強力。 

  • 「精神・在宅の多因子を扱う」 → #10 精神看護系の関連図特化本。 

  • 「看護診断を厳密に精査してから図を作る」 → #6 看護診断ハンドブックで診断→関連因子を確実に。 

追加の実用提案(すぐ使える)

  1. テンプレの取り込み方法:上の「疾患別」「症状別」本の図をスマホで撮影 → ノートやA4用紙にトレースして「自分用テンプレ」を作る(本の図をそのまま写して、自分の矢印の書き方・記号に置き換えるだけでOK)。(出典:書籍目次・図掲載情報参照)。

  2. 学習ルーチン(おすすめ):1冊(書き方本)で型を学ぶ → 疾患別本で「模写」→ 実習で1ケース描く → 帰宅後に病態生理本で修正。これを繰り返すと関連図が早く正確になります。

出典(主要)

書誌・解説ページを参照して表を作成しました(各行に該当のウェブ参照を付記しています)。

主要参照: 医学書院(疾患別・症状別書籍)、中央法規/中央法規系解説、照林社、医学芸術社、書籍販売ページ等。個別出典は表中の各行に付与しています。