【手術室】男性看護師のタッチングは慎重に考えた方がよいと思う|患者との距離感と手術室での関わり

こんにちは、あるいはこんばんは。一匹兎(@pepeopecn)と申します。

今回は、手術室でのタッチングについて書いてみます。
その中でも特に、男性看護師によるタッチングは、より慎重に考えた方がよいのではないかということについてです。

看護の場面では、患者さんの不安を和らげるために、手を添える、肩に触れる、手を握るといった関わりが語られることがあります。
実際、タッチングには安心感を与えたり、気持ちを落ち着けたりする意味があると考えられていて、看護援助のひとつとして自然に受け止められている場面も多いと思います。

けれども私は、手術室で働いていた中で、そのタッチングについて少し立ち止まって考えることがありました。
それは、そのタッチングは本当に患者さんのためになっているのだろうか、そして、特に男性看護師はそこをより慎重に考えた方がよいのではないかということです。

もちろん、男性看護師が患者さんに関わること自体が問題だと言いたいわけではありません。
また、男性看護師によるタッチングがすべて不適切だと言いたいわけでもありません。

ただ、患者さんによっては、男性から身体的に近づかれること自体に、言葉にしにくい緊張や抵抗を感じる場合があると思います。
その可能性を軽く見ない方がよいのではないか。
特に、手術室のように関係性が十分できる前の短い関わりでは、なおさらそうではないか。
私はその様に感じています。

この記事では、手術室におけるタッチングについて、
患者さんにとって本当に必要な関わりとは何か
特に男性看護師はどこに慎重さが必要なのか
という視点から整理してみたいと思います。

タッチングは、いつでも安心につながるとは限らない。

タッチングは、不安軽減や安心感につながる援助として有効であると言われます。
たしかに、状況によっては、言葉よりも触れることの方が支えになる場面もあると思います。

でも、タッチングはいつでも、誰に対しても、安心につながるとは限らないとも思います。

同じように手を添える行為でも、
安心する人もいれば、戸惑う人もいます。
落ち着く人もいれば、距離が近すぎると感じる人もいます。
うれしいと受け取る人もいれば、緊張や不快感につながる人もいます。

つまり、タッチングはそれ自体が良い援助なのではなく、誰に、どのような場面で、どのような関係性の中で行うかによって意味が大きく変わるものなのだと思います。

看護師側からすると、
「不安そうだから少し手を添えよう」
「安心してもらいたいから触れよう」
という発想になりやすいかもしれません。

けれども、その時にいちばん大事なのは、
自分がどう関わりたいかではなく、
患者さんにとってその関わりがどう感じられるか
なのではないでしょうか。

私の場合になりますが、私も一応妻子がいる身です。

そこで例えば比較的若めの女性看護師にしょっちゅうタッチングをされていたら、妻的には非常に気分は悪いでしょう。

そもそも私はあまり人から触れて欲しくないという思いがあります。

私の思いにしても、周りの人間の思いにしても良い効果は生まないのではないかと感じます。

手術室は、ただでさえ身体的距離が近くなりやすい。

手術室は、病棟よりも身体的距離が近くなりやすい場所だと思います。

入室、移動、体位調整、モニター装着、術前準備。
安全に手術を進めるためには、身体に触れることそのものが必要な場面も多くあります。

だからこそ私は、必要な接触と、そうでない接触を丁寧に分けて考える必要があると思っています。

治療や安全確保のために必要な接触はあります。
それは避けられないことも多いですし、専門職として必要な行為です。

でも、それとは別に、
「安心してほしい」
「不安を和らげたい」
という思いから行うタッチングについては、少し慎重であってよいのではないでしょうか。

手術室に来る患者さんは、多くの場合、すでに緊張しています。
慣れない環境の中で、これから自分の身体に何が起こるのかを考えながら、多くの医療者に囲まれている。
その中で受ける接触は、看護師が思う以上に大きく感じられることもあると思います。

そう考えると、
「安心してもらうために触れる」
という発想は、時に看護師側の自然な善意であっても、患者さんにとってはそうとは限らないのだと思います。

特に手術室看護師がタッチングをする機会は全身麻酔がかかる時、意識が無くなっていく過程で手を握る場面

局所麻酔の手術にて適宜さすってみたり、手を握ってみたりとい場面が多いと思います。

言わば患者さん的には非常に不安になっている場面であり、その際のタッチングによって軽減する効果を狙っての事と思います。

しかしやはりそこで男性看護師が特に若い女性であればあるほど、その手を握るという事は少し慎重に考えなければならないと感じます。

特に男性看護師は、より慎重に考えた方がよいのではないか。

ここで私がいちばん言いたいのは、この点です。
特に男性看護師は、タッチングをより慎重に考えた方がよいのではないかと思っています。

これは、男性看護師が不適切だという話ではありません。
また、男性看護師は患者さんに触れてはいけないという話でもありません。

ただ、患者さんによっては、男性から身体的に近づかれること自体に抵抗を感じることがあると思います。
それは理屈だけの話ではなく、過去の経験や、その人の感覚、育ってきた背景、性別に対する距離感など、さまざまなものに影響されるはずです。

そして、その抵抗感は、患者さんの側からはなかなか言葉にしにくいものでもあります。

特に手術室では、
患者さんは緊張している
関係性はまだ深くない
短い時間で流れが進んでいく
という条件が重なります。

その中で、男性看護師が
「不安を和らげたいから」
「寄り添いたいから」
という気持ちでタッチングを選んだとしても、患者さんにとってはそう受け取られないことがあるかもしれません。

だからこそ、男性看護師はなおさら、
タッチングを〝普通の援助〟として安易に選ばない方がよいのではないか
と思うのです。

以下は少し偏見もあるかもしれません。

例えば若い男性看護師がお年を召した女性患者さんの手を握る行為は比較的良いかもしれません。

しかし、例えばいい歳した男性看護師(俗に言うおっさん)が若い女性患者さんの手を握る、という行為は特に今の世の中何を言われるか分かりません。

そこは患者さんが何を求めているのか、を今一度考える必要があると感じます。

拒否されなかったから大丈夫、ではないと思う。

こういう話をすると、
「嫌なら患者さんが言うのではないか」
「拒否されなかったなら問題ないのではないか」
という考え方もあるかもしれません。

でも私は、そこはあまり単純ではないと思っています。

手術前の患者さんは、不安や緊張の中にいます。
相手は医療者です。
これから手術を受ける立場で、流れも止めにくい。
その状況で、
「触れないでほしいです」
「少し嫌です」
と伝えるのは簡単ではないと思います。

だから、嫌がられなかったことと、安心して受け入れられていたことは同じではありません。
表面上は何も起きていなくても、患者さんの中では距離の近さに戸惑っていた、緊張していた、違和感を持っていた、ということもあるかもしれません。

特に男性看護師が患者さんに関わるときには、
明確に拒否されなければよい
ではなく、
そもそもその接触は必要なのか
というところから考えた方がよいのではないでしょうか。

関係性が浅い場面では、触れない支援の方がよいこともある。

私は、タッチングを考えるときに、関係性はかなり大きいと思っています。

信頼関係がある相手。
やり取りの積み重ねがある相手。
雰囲気や距離感がお互いに少し見えている相手。
そうした関係性の中でのタッチングと、ほとんど関係性ができていない相手からのタッチングでは、受け止め方はまったく違うはずです。

手術室では、患者さんと十分な関係性を築く前に関わることが多いです。
だからこそ、特に男性看護師は、
触れることより先にできる支援
を大事にした方がよいように思います。

例えば、

丁寧に名乗ること。
今から何をするのかをわかる言葉で伝えること。
患者さんの表情や反応を見ること。
急がせるような空気を作りすぎないこと。
必要以上に近づきすぎないこと。
声のトーンや話し方で安心感をつくること。

こうしたことでも、安心は十分支えられるかもしれません。
むしろ、関係性が浅い段階では、その方が自然なことも多いのではないでしょうか。

〝良かれと思って〟が、看護師側の都合になっていないか。

もう一つ大切だと思うのは、
看護師側の「良かれと思って」が先行していないか
ということです。

患者さんが不安そうだと、何かしてあげたいと思います。
黙って見ているだけではいけないように感じて、何か関わらなければと思うこともあるかもしれません。

でも、その時に選んだ行為が、本当に患者さんのニーズに合っているかどうかは別の話です。

安心してもらいたい。
寄り添いたい。
支えたい。
そう思うことは、とても大切です。

ただ、その気持ちが強いほど、
「自分が援助したい」
「自分が関わったと思いたい」
という側面が入り込んでしまうこともあるように思います。

特に男性看護師がタッチングを選ぶ時には、
それは本当に患者さんのための行為なのか
それとも、自分の中の〝何かしてあげたい〟に引っ張られていないか
を、一度立ち止まって考えた方がよいのではないでしょうか。

男性看護師は〝触れること〟に慎重であること自体が大事なのかもしれない。

私は、男性看護師が患者さんに関わることそのものを、必要以上に特別視したいわけではありません。
でも一方で、性別によって患者さんの受け止め方が変わりうることは、やはり無視しない方がよいと思っています。

そうであれば、男性看護師は、
「自分に悪気はない」
「援助のつもりだった」
「よくある関わりだ」
で済ませるのではなく、
自分が触れることの意味が、患者さんにどう届くかをより慎重に考える必要があるのではないでしょうか。

触れない方がよい場面では、無理に触れない。
タッチング以外の関わりで支えられるなら、そちらを選ぶ。
必要な接触と、そうでない接触を分けて考える。
患者さんの反応や雰囲気に敏感でいる。

その慎重さは、遠慮しすぎというより、むしろ患者さんを大切にする態度の一つなのだと思います。

最後に。

手術室でのタッチングについて考えるとき、私は
「タッチングは良い援助かどうか」
だけではなく、
「誰が、どの場面で、どのように行うのか」
まで考える必要があると思っています。

特に男性看護師によるタッチングについては、患者さんによって受け止め方が異なる可能性を、もう少し慎重に見てよいのではないでしょうか。
看護師側に善意があることと、患者さんにとって安心につながることは、必ずしも同じではありません。

だからこそ、男性看護師は、
「不安そうだから触れる」
を当たり前の選択肢にするのではなく、
本当にその関わりが患者さんのためになるのか、
触れない形で支えられないのか、
その都度考える必要があるように思います。

私自身も、タッチングを含めた関わりについて、
「援助のつもりだった」で終わらせず、
患者さんの距離感や受け止め方を、もっと丁寧に考えていきたいと思っています。