手術看護でゴードンの11パターンをどう使うか|病棟の枠組みを手術室で読み替える視点

こんにちは、あるいはこんばんは。一匹兎(@pepeopecn)と申します。

みなさんの看護記録はゴードンの11の機能的健康パターンを使用していますか?

しかしながら、基本的には病棟での記録になっていますのでこれを手術看護で使用することは非常に難しく感じます。

しかし、紐解いてみると病棟の記録と同じ様に使用することができます。

今回はこのゴードンの11の機能的健康パターンを手術看護にどの様に応用していけば良いか考察していきます。

ゴードンの11の機能的健康パターン(Gordon's Functional Health Patterns)は、患者の健康状態を包括的に評価し、看護計画を立案するためのフレームワークとして広く活用されています。手術看護においても、このパターンを適用することで、術前、術中、術後のケアを効果的に行うことが可能になります。以下では、各パターンを手術看護にどのように応用できるかを詳述します。

基本的な書き方についてはこちらもご参照にしてみてください。

 

 

ゴードンの11の機能的健康パターンは、病棟ではよく使われる枠組みです。
ただ、手術看護にそのまま当てはめようとすると、少し扱いにくさを感じることがあります。

術前・術中・術後を通して患者さんを見る手術看護では、病棟と同じ見方だけでは拾いにくい情報があるからです。

しかし、紐解いてみると、ゴードンの11パターンは手術看護でも十分使えると私は考えています。
大事なのは、そのまま当てはめるのではなく、手術看護の文脈でどう読み替えるかです。

今回は、このゴードンの11の機能的健康パターンを手術看護にどのように応用していけばよいか、一例として整理していきます。

まずゴードンの基本的な考え方や、看護過程での書き方を整理したい方は、〖看護診断〗NANDA-I「North American Nursing Diagnosis Association International」についてまとめてみた。や、〖看護学生向け〗看護過程アセスメントの書き方のコツ(ゴードンの11項目:機能的健康パターン)も参考になると思います。

手術看護全体の考え方を整理したい方は、手術看護まとめもあわせてどうぞ。

手術看護でゴードンを使うときに難しいと感じやすい点

ゴードンの11パターンは、患者さんを包括的に見るための枠組みとして非常に有用です。
ただ、病棟での看護過程に慣れているほど、手術看護にそのまま当てはめようとすると少しズレを感じることがあります。

手術看護では、術前にどの情報を拾っておくか、術中に何を予測しておくか、術後に何を引き継ぐかが重要になります。
つまり、病棟のように「現在の生活全体を継続的に見る」だけでなく、周手術期に起こりうる変化を先回りして考える視点が必要になります。

そのため、ゴードンの11パターンも、病棟と同じ意味づけで使うというより、手術看護に引き寄せて読み替える方が使いやすいと感じます。

手術看護では「術前・術中・術後」をつなげて考える

手術看護でゴードンを使うときに大切なのは、各パターンを単発で見るのではなく、術前・術中・術後をつなげて考えることだと思います。

たとえば、術前の不安はコーピングや認知だけの問題ではなく、術中の協力動作や術後の回復にもつながります。
栄養状態や活動レベルも、手術侵襲への耐性や術後の離床に影響します。

つまり、手術看護では「今どうか」だけでなく、
手術によって何が起こりそうか
術後に何が問題になりそうか
まで見通して考える必要があります。

ゴードンの11パターンを手術看護で読み替える一例

ここでは、病棟で使われる枠組みをそのまま当てはめるのではなく、周手術期の視点でどう読み替えられるかを一例として整理していきます。

1. 健康管理パターン

手術前のアセスメントでは、患者さんが自分の健康状態をどう認識しているか、手術をどう理解しているかを確認します。

病棟のように普段の健康管理行動を見るだけでなく、手術に対する理解度、不安、術前指導の受け止め方まで含めて見ることが大切です。
また、慢性疾患のコントロール状況や、内服管理、喫煙歴、既往歴なども手術リスクに直結します。

2. 栄養・代謝パターン

手術前後の栄養状態は、創傷治癒や感染リスク、全身状態の回復に大きく影響します。

食事摂取状況や体重変化だけでなく、糖尿病の有無、低栄養、肥満、皮膚状態などを確認することで、術後合併症のリスクを予測しやすくなります。
手術室看護では、術前の状態把握と、術後に何が問題になりそうかをつなげて考える視点が重要です。

3. 排泄パターン

排泄パターンは、術後の尿閉や便秘、下痢だけでなく、手術侵襲や麻酔の影響を予測する視点としても使えます。

普段の排泄状況、導尿の有無、術後に排泄障害が起きやすいかどうかを見ておくことで、術後管理や患者指導にもつながります。
また、感染予防の観点からも、排泄パターンは軽く見ない方がよいと思います。

4. 活動・運動パターン

このパターンは、手術後の離床や回復を考えるうえでかなり重要です。

普段の活動レベルやADL、呼吸機能、筋力、移動能力を見ておくことで、術後の離床の進めやすさや、血栓症・肺合併症のリスクを予測できます。
手術看護では、術後の早期離床を見据えて、術前から患者さんの土台を把握しておくことに意味があります。

5. 睡眠・休息パターン

病棟では睡眠習慣そのものを見ることが多いですが、手術看護では、術前不安や術後疼痛、環境変化によって睡眠が乱れやすいことを意識しておくとよいと思います。

術後の休息不足は回復にも影響します。
そのため、ただ「眠れているか」だけでなく、痛み、不安、環境要因との関係で見ていく視点が必要です。

6. 認知・知覚パターン

手術看護では、痛みや感覚だけでなく、術前説明の理解、せん妄リスク、意識変容の可能性なども含めて考えたいパターンです。

高齢者や認知機能に不安がある患者さんでは、術後せん妄のリスク評価にもつながります。
また、術前の理解度を確認しておくことは、患者さんが安心して手術を受けるためにも大切です。

7. 自己認識・自己概念パターン

手術によって身体像や自己認識が変化する可能性がある患者さんでは、このパターンは特に重要になります。

切除、人工肛門、整容面の変化、機能障害などが予想される場合、患者さんがそれをどう受け止めているかを把握することは、術前支援にも術後支援にもつながります。

8. 役割・対人関係パターン

手術そのものだけでなく、術後に家庭や仕事での役割がどう変わるかまで見ておくと、このパターンはかなり活きてきます。

誰が支援者になるのか、退院後の生活はどうなるのか、家族との関係はどうか。
こうした点は、術後回復や退院支援にもつながる重要な情報だと思います。

9. 性・生殖パターン

婦人科手術や泌尿器科手術などでは、このパターンはかなり大切です。

ただ、対象となる手術以外では見落とされやすいこともあります。
性的機能や生殖機能への影響が予想される場合には、患者さんの不安や疑問に配慮しながら、必要な情報提供や支援につなげる視点が必要です。

10. コーピング・ストレス耐性パターン

手術は、それ自体が大きなストレスイベントです。
患者さんが普段どのように不安やストレスに対処しているかを見ることは、術前支援に直結します。

不安が強い患者さんでは、説明の受け止め方や術後の痛みの訴え方にも影響することがあります。
そのため、コーピングのパターンを把握しておくことは、手術室看護でもかなり重要だと思います。

11. 価値・信念パターン

患者さんが何を大切にしているのか、どのような価値観を持っているのかは、手術を受ける意味づけや意思決定にも関わります。

宗教的背景、治療に対する考え方、家族との関係、人生観などは、手術や治療の受け止め方に影響することがあります。
時間の限られた周手術期でも、可能な範囲でその人らしさを見失わない視点は持っておきたいです。

手術看護でゴードンを使うときのポイント

手術看護でゴードンの11パターンを使うときは、病棟の枠組みをそのまま持ち込むのではなく、周手術期の変化を予測する視点を足していくことが大切だと思います。

何が起きているかだけでなく、
何が起こりそうか、
何を術後に引き継ぐ必要があるか、
どのリスクを先に見ておくべきか、
を考えていくと、手術看護でもこの枠組みは十分活用できます。

手術看護を教育としてどう伝えるかに興味がある方は、手術看護は大学でどう教えるのか|授業内容と学びの視点。もあわせてどうぞ。

まとめ

ゴードンの11の機能的健康パターンは、病棟で使われることが多い枠組みですが、手術看護でも十分応用できると私は考えています。

ただし、そのまま当てはめるのではなく、術前・術中・術後をつなげて、周手術期の変化を見通しながら読み替えることが大切です。

手術看護では、患者さんの現在だけでなく、これから起こりうる変化を予測しながら支援していく必要があります。
その意味で、ゴードンの11パターンは、手術室でも使える枠組みになりうるのではないでしょうか。

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