
- 手術看護でゴードンの11の機能的健康パターン(Gordon\'s Functional Health Patterns)を応用する方法(一例)
- 健康管理パターン(Health Perception - Health Management Pattern)
- 栄養・代謝パターン(Nutritional-Metabolic Pattern)
- 排泄パターン(Elimination Pattern)
- 活動・運動パターン(Activity-Exercise Pattern)
- 睡眠・休息パターン(Sleep-Rest Pattern)
- 認知・知覚パターン(Cognitive-Perceptual Pattern)
- 自己認識・自己概念パターン(Self-Perception-Self-Concept Pattern)
- 役割・対人関係パターン(Role-Relationship Pattern)
- 性・生殖パターン(Sexuality-Reproductive Pattern)
- コーピング・ストレス耐性パターン(Coping-Stress Tolerance Pattern)
- 価値・信念パターン(Value-Belief Pattern)
- 結論
手術看護でゴードンの11の機能的健康パターン(Gordon\'s Functional Health Patterns)を応用する方法(一例)
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こんにちは。一匹兎(@pepeopecn)と申します。
みなさんの看護記録はゴードンの11の機能的健康パターンを使用していますか?
しかしながら、基本的には病棟での記録になっていますのでこれを手術看護で使用することは非常に難しく感じます。
しかし、紐解いてみると病棟の記録と同じ様に使用することができます。
今回はこのゴードンの11の機能的健康パターンを手術看護にどの様に応用していけば良いか考察していきます。
手術看護におけるゴードンの11の機能的健康パターンの応用(一例)を知ることができる。
ゴードンの11の機能的健康パターン(Gordon's Functional Health Patterns)は、患者の健康状態を包括的に評価し、看護計画を立案するためのフレームワークとして広く活用されています。手術看護においても、このパターンを適用することで、術前、術中、術後のケアを効果的に行うことが可能になります。以下では、各パターンを手術看護にどのように応用できるかを詳述します。
基本的な書き方についてはこちらもご参照にしてみてください。
健康管理パターン(Health Perception - Health Management Pattern)
手術前のアセスメントにおいて、患者が自身の健康状態をどのように認識し、手術に対する理解や期待をどのように持っているかを評価します。
例えば、手術に対する不安や恐怖、手術後の回復に関する期待を尋ねることが重要です。
また、患者の過去の健康管理行動(例:定期的な検診を受けているか、慢性疾患の管理方法)を確認し、手術に関連するリスクを評価します。
手術に対する理解度を高めるため、手術の詳細や術後の回復過程についての教育を行い、患者が自信を持って手術に臨めるよう支援します。
栄養・代謝パターン(Nutritional-Metabolic Pattern)
手術前後の栄養状態は、回復に大きな影響を与えます。
手術前には、患者の食事摂取状況、栄養状態、代謝に関連する疾患(例:糖尿病、肥満)を評価します。
栄養不足や栄養過多が手術後の合併症リスクを高める可能性があるため、必要に応じて栄養補給の計画を立てます。
手術後には、適切な栄養管理が傷の治癒や免疫機能の回復を促進するため、食事の再開タイミングや内容、経腸栄養の必要性などを評価し、患者に適した栄養計画を提供します。
また、傷口の治癒状態や感染症の兆候を監視し、必要に応じて医療チームと連携して介入を行います。
排泄パターン(Elimination Pattern)
手術後の排泄機能の評価は重要です。
麻酔や手術自体が排泄機能に影響を与えることがあるため、患者の排泄パターン(例:尿量、便秘、下痢)の変化をモニタリングします。
術後に便秘や尿閉が発生しやすい患者には、排泄を促すための介入(例:水分摂取の促進、適切な薬物療法)を行います。
また、導尿カテーテルの管理や、排泄に伴う感染リスクを最小限に抑えるための衛生対策も重要です。
排泄の正常化は、患者の快適さや回復速度に直結するため、看護師は術後の排泄パターンを慎重に評価し、適切なケアを提供する必要があります。
活動・運動パターン(Activity-Exercise Pattern)
手術後の早期回復には、適切な活動と運動が不可欠です。
手術前に患者の日常的な活動レベルや運動能力を評価し、手術後のリハビリテーション計画を立てます。
手術後は、ベッド上での運動や早期離床が推奨されることが多く、これにより血栓症や肺合併症のリスクを軽減します。
患者が安全に移動できるよう、転倒防止対策や適切な支援を提供します。
また、術後の痛みや疲労感に配慮しつつ、無理のない範囲での活動を促し、患者の自主性を尊重したケアを行います。
リハビリテーションチームとの連携も重要で、個々の患者に合わせた運動計画を実施します。
睡眠・休息パターン(Sleep-Rest Pattern)
手術後は、痛みや環境の変化により、患者の睡眠・休息パターンが乱れることがよくあります。
術後の疼痛管理は睡眠の質を向上させるために重要です。
痛みが睡眠を妨げる場合は、適切な鎮痛薬の使用や、睡眠を促進するための環境調整(例:静かな環境の提供、光の調整)を行います。
また、患者が十分な休息を取れるように、看護師は必要なケアを調整し、夜間の不必要な介入を避けるようにします。
患者の個々の睡眠パターンや休息のニーズに対応することで、回復を促進し、術後の疲労感を軽減します。
認知・知覚パターン(Cognitive-Perceptual Pattern)
手術後の認知機能や知覚機能の変化を評価することは、患者の安全を確保するために不可欠です。
特に高齢者や認知機能に障害を持つ患者では、術後にせん妄や混乱が生じやすいため、これを予防し、早期に対応することが求められます。
患者の意識レベル、判断力、記憶力、痛みの認識について継続的に評価し、異常が認められた場合は直ちに対応します。
痛みの評価には、患者がどのように痛みを感じ、どの程度の痛みを経験しているかを理解することが重要であり、痛みのスケールや患者からのフィードバックを使用して適切な鎮痛管理を行います。
自己認識・自己概念パターン(Self-Perception-Self-Concept Pattern)
手術は、患者の自己認識や自己概念に大きな影響を与えることがあります。
特に身体の一部を失う手術や、美容的な変化を伴う手術では、自己イメージや自尊心が低下する可能性があります。
看護師は、患者が手術後の変化をどのように受け入れ、どのように感じているかを評価し、心理的な支援を提供します。
また、患者が新しい身体像に順応し、自信を持てるようなサポートを行うことが重要です。
術後の自己概念の変化に対しては、カウンセリングや支持的なコミュニケーションを通じて、患者の感情を理解し、適切な支援を提供します。
役割・対人関係パターン(Role-Relationship Pattern)
手術は、患者の社会的役割や対人関係に影響を与えることがあります。
術後の回復期間中、患者が家庭内や職場での役割を果たすことが困難になる場合があります。
このため、看護師は、患者の役割や対人関係の変化について評価し、必要に応じて支援を提供します。
例えば、家族とのコミュニケーションを促進し、患者が自宅で必要なサポートを受けられるように調整します。
また、退院後のフォローアップケアを計画し、患者が社会的な役割を再び果たせるよう支援します。
患者の家族や支援者との連携も重要であり、彼らが患者の回復にどのように関与できるかを一緒に計画します。
性・生殖パターン(Sexuality-Reproductive Pattern)
手術が患者の性的健康や生殖機能に影響を与える場合、看護師はこれを適切に評価し、支援を提供する必要があります。
例えば、前立腺手術や婦人科手術を受ける患者では、術後の性的機能や生殖能力に関する懸念が生じることがあります。
看護師は、患者のプライバシーを尊重しながら、これらの懸念について話し合い、必要な情報提供やカウンセリングを行います。
また、性的健康に関連する問題が発生した場合、専門的なサポートを提供できる医療チームとの連携が求められます。
患者が手術後も健全な性的関係を維持できるよう、適切な教育や支援を行います。
コーピング・ストレス耐性パターン(Coping-Stress Tolerance Pattern)
手術は、患者にとって大きなストレスとなるイベントです。
看護師は、患者がどのようにストレスを感じ、どのように対処しているかを評価し、適切なサポートを提供します。
手術前には、患者が持つストレス要因を特定し、ストレス軽減のための介入(例:リラクゼーション技法、呼吸法)を行います。
術後には、患者が新たに直面するストレスや不安に対処できるよう支援し、必要に応じてカウンセリングや心理的サポートを提供します。
また、家族や支援者が患者をどのようにサポートできるかを一緒に計画し、患者が効果的にストレスに対処できる環境を整えます。
価値・信念パターン(Value-Belief Pattern)
手術に対する患者の価値観や信念は、治療選択や回復過程に大きく影響を与えることがあります。
患者の宗教的信念や文化的価値観が手術にどう影響するかを評価し、これらを尊重したケアを提供することが重要です。
例えば、特定の信念に基づいて手術の種類や方法に対する選好がある場合、医療チームと協力してこれに対応する方法を検討します。
また、患者が手術に対してどのような期待や目標を持っているかを理解し、その目標達成に向けた支援を行います。
患者の価値観や信念を尊重することで、患者が手術に前向きに取り組み、回復への意欲を持つことが促進されます。
結論
ゴードンの11の機能的健康パターンを手術看護に応用することで、患者の全体的な健康状態を包括的に評価し、個別のニーズに基づいたケアを提供することが可能になります。
これにより、患者の術前・術後のケアの質が向上し、合併症の予防や回復の促進につながります。
看護師は、各パターンを適切に適用し、患者の身体的、心理的、社会的な側面をバランスよくケアすることで、患者の健康と幸福を最大限に支援することができます。