私が看護学生の頃に言われた言葉【男性看護師の意義】

私が看護学生の頃に言われた言葉【男性看護師の意義】

こんにちは。一匹兎(@pepeopecn)と申します。

 

私は看護観は?と聞かれても実はあまり確固たるものがありません。

看護観とは。【私情を挟んだ見解】 - 一匹兎.com。 (ippikiusagi.com)

大学教員をしておりますが、正直看護観を聞く様な事はあまりしていません。

というか、苦手です。

どうしても負の話をしなければいけないからです。

今回はなぜこんなに歪んでしまったのか、お話をします。

 

看護師に男はいらない。特にあんたみたいな奴に看護師になってもらいたくない。

これは、私が看護学生だった頃に実際に目の前で言われた言葉です。

看護学生になり様々な領域の実習に行き、実習の集大成とも言える最後の実習でこの様に言われました。

私は最初何を言われているのか理解が出来ませんでした。

 

何より、言われてた時のシチュエーションが今でも忘れられない状況として頭に残っているのです。

 

患者さんの状況と場面

とある某大学病院の脳外科で実習をしていました。

私が受け持った患者さんは70代の男性で脳腫瘍の術後だったのですが、予後がイマイチ良くなかったのと認知症がかなり進んでいて正直手のかかる患者さんでした。

 

朝、挨拶したのに昼にはまた初めましてだし、毎日同じ話聞かされるし、気性が荒いのですぐ怒るし、車椅子移動なのに立ち上がって転倒しそうになるし、でもなんやかんやで歩けるから転ばない様にずっと見張っていないといけないし。。。

といった感じでした。

今では考えられないですが、そういった目の離せない患者さんは看護学生に押し付けられっていた感じがします。

私もお昼休憩以外は常に患者さんの隣にいました。

正直、かなりストレスでした。

 

そんなある日。

私はしでかしてしまいます。

いつもの様に病棟にいって朝の申し送りを聞くのですが、その日は早めに来てしまい時間があったので患者さんにとりあえず挨拶だけ済ませようと病室に向かいました。

そしたら、看護師に連れられてフラフラしながら廊下を歩いていました。

私の事を見つけた看護師は(恐らくその日の夜勤者)「助かった。あとよろしく」とだけ告げ、患者さんの元から去っていきました。

気を抜いたら転びそうになるので、目が離せない状況。患者さんは怒っていて、さらに目の離せない状況。

この状況で朝の申し送りの時間が迫ります。

 

目を離してはいけない、注意されていたことを思い出し、その場を離れることは出来ませんでした。

廊下のだいぶ端の方に来てしまっていて、すれ違う看護師もいません。

患者さんに部屋に戻る様促しても怒ってばかりでまったく聞きません。

そうこうしているうちに申し送りの時間が終わってしまいました。

 

私は、〝やる気が無く、申し送りに来ない学生〟というレッテルを張られ、患者さんの部屋担当の看護師にこっぴどく怒られました。

今までの経緯を〝説明〟しましたが、〝言い訳〟にしか取られず、非常に悲しい思いをしました。

朝、私に患者さんを明け渡した看護師はどこかへ行ってしまいました。

 

それだけでは、腹の虫が収まらなかったのでしょう。

あのセリフが出てきます。

「看護師に男はいらない。特にあんたみたいな奴に看護師になってもらいたくない。」

車椅子に乗っている患者さん越しに言われました。

患者さんには看護師の姿は見えません。(私の方を向いていたので)

患者さんは耳が遠いので、「何や?なんて言ったんだ?」と聞き返します。

そしたら、その看護師は笑顔になり、「〇〇さんに言ったんじゃないよ。学生さんに言ったんだよ。」とおちゃめに舌を出しました。

恐らく卒後3年目くらいの若い看護師でした。

 

看護観?

私の中で何かがガタガタと崩れる音がしました。

 

自分は何で看護師になろうと思ったのか。

看護師の仕事って何だろうか。

男の存在意義?

看護観?

 

何かがスッと消えていく。糸が切れてしまった様でした。

正直、看護師ってクソだな、と。

看護師になる気が失せました。

ですが、もはや卒業まであと少し。国試まであと少し。

後戻りは出来ない。

 

その後は必至でマインドコントロールをしました。

たどり着いた結果は、自分が看護師として働くことで男性看護師の存在意義と、看護師って何?、看護観って何?という事を〝確認する〟看護師人生にしようという思いでした。

 

患者さんからの言葉

あの言葉を言われてから、まだあと1日実習が残っていたので、落ち込みたくなる気持ちを何とか堪えて最後まで実習を頑張ろうと思っていました。

 

毎日初めまして。

認知症の患者さんから怒られる日々。

看護師からはあんたはいらないと言われる。

そんな実習からやっと逃れられると思って、やっと最後の挨拶を患者さんに言う時が来ました。

 

「〇〇さん、今日初めましてなんですけど、実はこれで実習終了なんです。今までありがとうございました。」

「おう、そうか。世話になったな。なぁ……、絶対あいつに負けんなよ。」

 

〝あいつ〟とは誰を指していたのか。

この実習期間の事をまるで覚えていたかのような言葉に、心が抉られる様な思いがしました。

 

その後、次のクールの実習生に患者さんの様子を聞くと、薬を盛られてナースステーションでずっと寝てると言われました。

本当に。看護って何ですかね?

 

答え合わせの結果

看護って何なんだろうか。

実は私がその答えを一番欲しているのかもしれません。

その答えは未だに見つかりません。

でも、見つからないものかなと思いました。

看護から離れる時、自分の中で納得いくかどうかなのかなと思うようになりました。

 

ただ、一つだけ。

当時の恐らく3年目くらいであろう看護師は今は40代半ば。

まだまだ看護師としてこれからもやっていくでしょう。

そんな看護師がまだこの日本に沢山いるという事が恐いです。

 

私が看護師を辞めて大学教員になった理由の一つに、看護師の〝教育〟とは何か見てみたかったことがあります。

まだまだ知らない事ばかりです。

日々精進。

お互い頑張りましょう。

自分語りが過ぎました。

次はもっと為になる話を。