手術室看護師にコミュニケーション能力はいらないのか?【私情を挟んだ見解】

手術室看護師にコミュニケーション能力はいらないのか?【私情を挟んだ見解】

こんにちは。一匹兎(@pepeopecn)と申します。

突然ですが皆さんは手術室看護師はコミュニケーション能力が低いと思いますか?

結論になってしまいますが、私は違うと思います。

手術室看護師はコミュニケーション能力が高い!!

むしろ高くなければならないと思っています。

その見解について私情タップリにお話しします。

この記事の内容
・手術室看護師のコミュニケーションについて

手術室看護師はコミュニケーション取れない?

他の記事でも一度書いたことがありました。手術室看護師はコミュニケーションが取れない問題。
例えば、病棟で患者さんやスタッフと上手く関わられない看護師は手術室へ、手術室は患者さんとコミュニケーション取らなくていいから良いだろう、という理由で手術室に異動されてくる方も珍しくありません。
正直、非常に心外です。
その様に思っている看護部長を始め管理者の方がいらっしゃったら即刻考えを改めて頂きたい。
個人的に手術室ではコミュニケーション能力は病棟と同じ様に問われます。
確かに患者さんと接する機会は病棟看護師に比べたら少ないかもしれないですが、その分かなりの濃さがあります。
コミュニケーションが取れないから手術室なんて安易な考えです。
その様な意識では手術室でも上手くいくハズがありません。

看護教員にもその様な意識の方がいる。

残念ながら看護教員にもその様な意識の方が〝まだまだ〟いらっしゃる様です。

学生に平気で「コミュニケーション苦手なら手術室とかいいんじゃない?」なんて、唖然とすることを言ったりします。

非常に悔しい思いをしています。

これは教育の現場からも改善していかなければならない由々しき事態です。

 

私は臨床の経験から手術室関連の指導を任されることがあります。

その際に、「あの学生はコミュニケーションがとれないから」「あの学生は病棟では通用しないと思うから」といった理由で手術室の実習に回されることがあります。

学校教育の時点でこの様な考えの教員がいるのですから、現場はもっとなのかなと思ったり、この様な状況を見過ごすわけにはいかないと思い、これからの教員生活の目標の一つになりました。

 

手術室看護師のコミュニケーション。

〝患者さんと〟のコミュニケーションの〝機会〟は確かに少ない。

先ほども書きましたが、患者さんとのコミュニケーションの機会は確かに少ないかもしれません。

術前・術後訪問と手術室に入室して全身麻酔がかかるほんの数分、または局所麻酔中など、となります。

病棟看護師の経験がある方は患者さんと関わる機会がかなり少なく感じると思います。

 

病棟から異動されてきた方にはやはり、患者さんと話が出来なくなったと寂しく思う方もいました。

元々患者さんに直接援助をすることをイメージしていた方もよくコミュニケーションの機会が少ない事で、本当に看護師としての役割を果たしているのかといった疑問を持ちながら働いている方もいました。

コミュニケーションを多く取る事だけが看護師の役割ではない。

コミュニケーションだけを考えてしまえば確かに手術室看護師は少ないと思います。

ですが、それは〝コミュニケーション能力が低い〟ことではありません。

そして、看護師の役割はそれだけでは無いと思います。

良く言われるのが「患者の代弁者となる」ということ。全身麻酔で意識が無くなった患者さんの訴えに耳を傾け、それの代弁者となるのです。

もし、コミュニケーションを多くとることに生きがいを感じている方がいたら、もしかしたら手術室ではあまり感じることが出来ないかもしれません。

ただお願いしたいのは、手術室看護師は決してコミュニケーション能力が〝低い〟のではなく、〝機会が少ない〟といことです。

そこだけは勘違いしないで頂きたく思います。

どんなコミュニケーションが必要か。

医師や看護師とのコミュニケーション。

コミュニケーションの相手が患者さんから医師や看護師に割合が大きく変わると思います。

特に手術中の器械出しです。

器械出しは執刀医の思いや考えを瞬時に汲み取り、手術の進行や今後の予想をして的確な器械を準備し、手術がスムーズに進む為に重要な役割になっています。

阿吽の呼吸と言いますか、非言語的コミュニケーションも重要になります。外回り看護師の場合も同様です。

さらには看護師同士、同じ手術を受け持つペアの看護師もコミュニケーションをしっかり取らないと安全な手術をすることはできません。

 

患者さんとのコミュニケーションから医療者とのコミュニケーションにシフトしていくイメージです。やはり患者さんとのコミュニケーションをもっと取りたいと思っている方にとっては物足りないかもしれません。

 

患者さんとのコミュニケーション。

では患者さんとは全くコミュニケーションを取らなくても良いのか。。。

それは先述した通り、そんなことはありません。

むしろ高いコミュニケーション能力を必要とします。

術前訪問・術後訪問

手術室看護師の仕事の一つとして術前訪問・術後訪問があります。

手術を受ける患者さんや家族と面談をし、手術室に入ってから流れの説明や注意点、アレルギーなどの確認などをしています。

その際に不安や心配事なども聞いています。

術後訪問は術後の経過を観察すると共に手術を終えた患者さんの思いやそれによる心配事や不安などを聞いています。

手術中にもし合併症など起きた場合(例えば発赤・褥瘡など)、その経過を見たりしています。

 

術前訪問・術後訪問にかける時間はどのくらいだと思いますか。

手術室の業務の関係もあり、あまり多くの時間を割くことが出来ません。せいぜい30分くらいでしょうか。

短いと思いますか?

この短い時間の中で、患者さんの手術に対する思いや心配事、アレルギーなど手術にどんなリスクがあるか、患者さんの理解度など聞かなければならない事が沢山あります。

そこでさらに患者さんの不安を取り除かなければなりません。

尋問みたいな質問ばかり並べる様なコミュニケーションだと逆に不安を与えるでしょう。

 

短時間の中でかなり密なコミュニケーションを取らなければなりません。

患者さんはさらに手術前という特殊な場面でのコミュニケーションなので、いつもよりシビアになっているでしょう。

その中で患者さんとの関係性を構築しなければなりません。

 

全身麻酔がかかる数分間の間。

手術室に入室してきた患者さんはきっと緊張しているし、不安になっているでしょう。

その状態の患者さんにどの様な声を掛けてあげますか?

術前訪問ではどの様な事を話しましたか?関係性は構築できましたか?

その上で全身麻酔がかかる数分の間にどんなコミュニケーションを取りますか?

 

それを考えるだけでもかなり難しいと思います。

 

手術室看護師は高いコミュニケーション能力が必要。

手術室看護師は高いコミュニケーションが必要、と書きましたが実は、コミュニケーションが下手でも務まってしまう所もあります。

手術室は多くの職種が同じベクトルで仕事をしなければいけない部署でもあります。

小さなミスが患者さんへ大きな侵襲を加えてしまうかもしれません。

ですので、みんながフォローし合っています。

コミュニケーションも然り。

 

ですが、それだと看護師の役割を全うしているとは言えないでしょう。

患者さんに安全・安楽、少しでも手術の不安や心配事を軽減するために、限りある短い時間の間に質の良いコミュニケーションを取らなければいけないと思います。

 

高いコミュニケーション能力を発揮してこそ、手術室看護師の力を存分に発揮できることでしょう。