
【看護学生向け】手術室実習で事前に準備しておくこと【勉強・心構え】
こんにちは。一匹兎(@pepeopecn)と申します。
元手術室の看護師で手術看護の認定看護師でもあります。現在は大学で教員をしています。
この記事では看護学生向けに手術室での実習に向けた内容にしたいと思っています。
手術室実習といってもいわゆる手術見学ではなく、統合(総合)実習での最後の実習を手術室でと選んでくれた学生に向けての記事になります。
ですので、手術看護についてより深めていく必要があります。
学生の中には将来手術室の看護師になりたいという方もいるかと思います。きっとその方は最後の実習に手術室を選んでくれているはずですから、ぜひ参考にして頂きたく思います。
事前に準備しておくと良いもの。
目的・目標を明確に。
勉強・課題
手術室の見学では主に目的・目標について聞かれると思いますが統合(総合)実習ではもう少し手術の内容について、手術看護について聞かれることが多くなると思います。
やはり自らこの分野を選んで来るわけですから、周りの目も変わります。
特に手術室はあまり学生が来る環境にないので、手術室の看護師はどんな学生が来るか楽しみにしていると思います。
手術看護については大学の教科書にあまり多くは載っていないと思います。
そこで、どんな所を勉強してくればより手術室の実習が実りある様になるかアドバイスさせて頂きます。
参考にどうぞ。
術式の理解・解剖の理解
まずは自分の入りそうな手術の方法、どの様に手術しているかの理解です。
手術室の実習となると多くの手術見学に入ると思いますので、すべての術式の理解は難しいかもしれないですが、少しでも多くの術式を理解しておけばより深い学びになると思います。
術前・術後訪問時の観察項目
術前の患者さんと話をするときに確認しなければならない事項があります。また、術後は手術によって何か不具合が起きていないか確認する事項があります。
その確認すべき事柄をしっかり予習してきてください。
そして実際に手術室看護師がどの様な事をしているのか見学してみてください。
全身麻酔について
手術と言えば必ずと言って実施するのが全身麻酔。
全身麻酔には様々な薬品が使用され、患者さんの状態も大きく変化します。
どの様になるのか、手術し看護師はその時にどの様な援助をしているのか、全身麻酔とはどの様なものかなど調べてみてください。
突き詰めれば沢山の事項がありますので、実習までのすべてを網羅することは難しいと思います。
ですが、これも一つでも多くのことを頭に入れてから見学すると沢山の気付きがあると思います。
勉強してこなければ、知らない間に終わってること(実施してること)とかもあってもったいないですよ。
手術看護は勉強する事がとにかく沢山あり、そのほとんどが残念ながら国家試験にはあまりでてきません。
ここで国家試験の勉強が疎かになるのは残念なので、あまり考えすぎずに、でも沢山頭に入れてもらえると実りある実習にあると思います。
実は国家試験でも応用できることも意外とあったりしますが。。。
手術室でぜひ見学してきてもらいたいこと。
ぜひ手術室でここは経験してきて欲しいなと思う事を以下に書きます。
【手術室で学生に見学させたい項目】
・器械出し看護師、外回り看護師の手術準備の様子(器械の整理、ベッドの作成など)
・各種モニター類、ライン類(心電図、Aラインなど)
・間欠的空気圧迫装置の装着
・全身麻酔の導入時、挿管時の看護師の介入
・外回り看護師の役割(全身状態の観察、体位固定、出血量・尿量の測定、ドレーンの観察など)
・手術看護記録、麻酔記録の読み方
・術前、術後訪問
・全身麻酔から覚醒時、退室までの全身状態の観察
・退室までの全身状態の観察 など
これらは手術看護の重要な援助部分でもあるのでぜひ経験してきてください。
手術室により深く実習できるのはかなり貴重な経験になります。
他の記事にも書いていますが、手術室の実習と言えば手術見学が主になります。
ですので患者さんと共に手術室に入室して、手術を見学したらそのまま患者さんと共に帰ると思います。
ですが、〝手術室実習〟は違います。
手術室看護師として実習をします。手術室看護師の目線として実習をします。
つまり、患者さんを病棟の看護師に送ったら手術室に戻り、手術室での仕事を見学します。
手術をすること以外に手術室看護師の仕事は様々あります。
体験して欲しいこと。
手術室実習では学生が手が出せることはあまり無く、見学になる事が多いと思います。
ですが、今までの病棟実習と比べ、見るものすべてが新鮮なことになること間違い無しでしょう。
その中でもぜひここを体験出来たら良いなと思う事を書いていきます。
術前・術後訪問での確認事項、患者さんとのコミュニケーション
まずは、手術看護の一つとして話題に挙がりやすい術前・術後訪問です。
手術する患者さんへ訪問し、手術を行う上で何かリスクになりそうなことは無いか確認していきます。また、手術の説明に対してどれだけ理解しているか、不安などは無いか、患者さんの思いはどうかなど、コミュニケーションの場でもあります。
手術室看護師がどの様に患者さんとコミュニケーションを取っているか見てみてください。
手術室だからといってコミュニケーション取らなくても良いなんてことはありません。
もしろ短時間で必要な情報を得なければならない、かつ患者さんの不安や心配に向き合わなければならないので、コミュニケーション能力は高くないといけません。
体位固定を手術室看護師と一緒に&自分もされてみる
手術室看護師の大きな仕事の一つに手術体位の固定があります。
長時間の間手術をする患者さんは当然寝返りがうてません。そのままの体勢で数時間過ごすことになり発赤・褥瘡のリスクが高いです。
手術室看護師の雑な体位固定のせいで、本来ならできなかったであろう発赤・褥瘡を産むわけにはいきません。
かなりシビアに考えていることなので、ぜひ学生も一緒にこの患者さんに有効な体位固定はどの様なものか、手術室看護師はどの様に考えながら固定をしているのかを見てみてください。
そして、できれば自分で実際に体位固定されてみてください。
手術をしていない空いた時間と手術室があったら、実際に手術体位の体験が出来ないかお願いしてみてください。
実際に手術台に寝てみると、狭いし上には手術用のライト(無影灯)があるし、意外と恐いものだと感じるかもしれません。
そこに帽子とマスクで顔が見えない手術室看護師。患者さんの不安感は一層大きくなりそうです。
実際に固定するのは全身麻酔がかかって寝てからですが、その状態で身体が動かいないように固定して、ベッドを傾かせる(ローテーション)と、ずり落ちそうになってさらに恐さを感じると思います。
実際の患者さんの経験をしていることで、手術室看護師として術前の患者さんとどの様にコミュニケーションを取ればよいか考えることが出来ると思います。
間欠的空気圧迫装置の装着
術後合併症や、術中の合併症の一つに下肢に出来た血栓がとんで血管に詰まってしまう、静脈血栓症があります。
時にはかなり重篤な合併症になり、命を落とすこともあります。
術中は身体を動かせませんので、下肢を一定のペースでマッサージしてくれる機械があります。
実際は下肢に巻くのですが、こちらも経験できると良いです。
ガーゼカウント
手術室看護師の仕事の一つに出血量の測定があります。
その中で血の付いたガーゼを秤に乗せて出血量を見ることがあります。
血液を扱うので学生には禁止になるかもしれないですが、ぜひPPEをしっかりとって経験してみるとより臨場感を味わえます。
ゴーグルにマスク、ガウン手袋をしっかりして血液暴露の無い様に慎重に実施してみてください。
挿管介助
これは麻酔科医師とも連携しなければならないのでハードルが高いかもしれません。
ですが、協力的な麻酔科の医師なら教えてくれると思います。
実際私の担当した学生で実際に挿管介助をすることが出来ました。
とにかくできそうな(介入できそうな)所を聞いてみる
実は手術室に入って手術室看護師についていく実習は全国的にもあまり多くない様です。
ですので、私的にもどこまで学生が実施できるか不明瞭な部分もあります。
どこまで〝可能性〟を広げれるかはこれからの学生にかかっています。
ぜひ沢山のことを学んで、学生でもできることを見つけてください。
おわりに。
先述した通り、手術室にずっと入る様な実習は全国的にもあまり無いようです。
ぜひ情報共有したいので、話し合いが出来たらと思います。
よろしくお願いします。