【手術室看護師】麻酔科の先生を怒らせた話。薬品ケース散乱事件。

【手術室看護師】麻酔科の先生を怒らせた話。

薬品ケース散乱事件

手術室の看護師が手術を担当する上でどうしても避けては通れないのが麻酔科医師との連携です。

気の合う麻酔科医師なら良いのですが、どうしてもテンポが合わないと言うか、タイミングが合わない医師もいます(お互い様でしょうか)。

 

私も数々の事件を起こして、麻酔科医師を怒らせてきました。

その中のエピソードをお話したいと思います。

 

麻酔カート用薬品ケース

手術室には麻酔科の医師が使用する薬品や物品を収納している麻酔カートと呼ばれる(施設によって呼び方が変わりますが)台車があると思います。

全身麻酔で使用する様な基本的な薬品類と、シリンジを始め気管チューブや吸引チューブなどの物品を収納していると思います。

特に心臓血管外科の手術では使用する薬品の種類や量が他の手術に比べて多いため、心臓血管外科用の薬品ケースとして別に準備している施設もあるかと思います。

 

私の所属していた手術室はまさにそのケースで、元々の麻酔カートにプラスして心臓血管外科用の薬品カートを追加する様なやり方で管理していました。

薬品カートと言っても頑丈に出来ているわけではなく、薄いケースにいくつもの仕切りがされており、そこに約20種類×3本くらいのアンプルが入っている感じでした。

イメージだとこんな感じ。

これのさらに薄く、仕切りが多い感じです。

 

事件は突然に起こる。

いや、よくよく考えれば持ちながら歩くだけでアンプルのぶつかる音がいやらしく聞こえるし、ちょっとバランス崩せば中の薬品が落ちるって分かりきってることなんですけどね。

私が身をもって実践した訳です。(失敗の実践)

 

心臓血管外科の外回りを担当し、無事挿管など諸々の準備が終了し手術が開始されました。

しばらくすると麻酔科の先生が席を外していたので、先生の代わりにモニターのチェックでもするかなと麻酔機の近くに行ってみると、例の薬品ケースが麻酔科の先生の椅子に置いてあるではないですか。

しかも絶妙なバランスを保って。

 

おいおい、頼むぜ。

これだと倒して中の薬品アンプル割れちゃうぜ。

今のうちに安全な場所に避難してやろう。

おれって優しい。。。

 

なんて感じで薬品ケースを手に取ったのが運の尽きでございました。

 

絵に描いたように手から滑り落ちる薬品たち。。。

走馬灯とはこのことで、ゆっくりとした映像が未だに脳裏に焼き付いています。

(これは死ぬ間際にもう一度思い出すやつだわ)

 

けたたましい音と共に散乱するアンプルたち。

一体何本の薬品アンプルが割れてしまったんだろう。。。

一瞬の間と共に、麻酔科の先生の怒鳴り声が響く。

ついでに心外の先生まで怒ってました。

 

麻酔機の近くに行く度にベタベタ。

あんまり想像付かないかもしれないですけど、薬品って結構ベタベタするものも多くて、その薬品を一斉に落としたもんだから、そりゃもうなかなか拭いても取れないわけですよ。

 

おかげ様で麻酔科の先生に報告しに行く時は、歩く度にベタベタ音がするようになりました。

その度に執刀医の先生から「何の音?」と言われる始末。

しかも結構序盤でやらかしたもんだから、これから何時間これやるのよ?って感じで、非常居たたまれない時間を過ごしました。

 

あー、きっと今頃ナースステーションではこの話題で持ちきりだろうなぁとか。

師長にあとからめっちゃ怒られるだろうなぁとか。

考えていました。

その前に散々怒られてるのですが。。。

 

薬品破損届

なるものがあるのをご存じでしたか?

誤って薬品を無駄にした場合や、アンプルを破損した場合に記載して薬局に提出するやつです。

そりゃ初めて知りましたよ。

破損するのも初めてですから。

 

問題はその数です。

合計20本以上。。。。

書くだけで大変。

割れたアンプルを一つ一つ確認して何がどの位割れたのか調べるわけです。

心臓血管外科の手術の後に。

 

何とも虚しい作業でしょう。。

 

薬剤師の方に「何があったんですか?」と神妙な面持ちで質問されても

「いや。。。」

と言うのが精一杯でした。

 

みなさんも薬品を扱う時は細心の注意を払いましょうね。。。