
こんにちは。一匹兎(@pepeopecn)と申します。
元手術室の看護師です。現在は大学で教員をしています。
看護学の実習と言えば受け持ち患者さんを持つ事になります。
最初の方の実習では受け持ち患者さんを持たずに見学やシャドーイングなどがメインとなり、実践する看護援助もほとんど無かったと思います。
そこから看護過程の授業が入るようになり、それが終了した後の実習はいよいよ受け持ち患者さんを持つ実習が始まります。
この記事では看護学生向けに初めての受け持ち患者さんを持つ実習に向けた事前準備やどんなことを勉強しておくべきか、その心構えなどを中心に書いていきます。
どのタイミングで初めての患者さんを受け持つことになるか。
一番最初の実習は基本的に見学がメインの実習になる。
基本的に看護学生の1年生はまずは解剖学や微生物学などの専門性の高い科目や一般教養と言われる科目が多いと思います。
つまりは看護の実践に関しては最初の方ではあまり取り扱いません。
基礎看護の分野で一通りの看護援助の技術を習得しますが、まだまだ実践するには予備知識が足りない状況です。
その様な状況でまずは一番最初の実習が始まります。
ここでは基本的に見学やシャドーイングがメインの実習になると思います。
その際の注意点などについては他の記事で書いておりますのでご参照ください。
看護過程の授業後に受け持ち患者実習になる可能性が高い。
看護学校のカリキュラムによるかもしれませんが、必ずと言って看護過程の授業が入ると思います。
NANDA-1になるのかヘンダーソンになるのか、ゴードンになるのかは看護学校によって違いはありますが、要するに患者さんのアセスメントすることになるので、その授業を受けることになります。
その授業を受けてようやく、受け持ち患者さんを持った実習が始まり、実際に看護過程を展開していくことになります。
この流れを考えると看護過程の授業が大体1年生の後期から始まるとすると1年生の集大成としての実習で初めて受け持ち患者さんを持つことになりそうです。
私が以前所属していた大学では、1年生の初めての受け持ち実習の際にはヘンダーソンの充足未充足の観点でアセスメントし、その後の看護過程の授業ではゴードンに切り替わるといった方法で実施していました。
少なからず看護学校で看護過程の授業が無いうちは患者さんを受け持たない方針の学校が多いのではないかと思います。
自分の所属する看護学校の看護過程を勉強しておく。
ほとんどの看護学校では初めての受け持ち患者さんの実習前に看護過程の授業が入ると思われますので、まずはその授業をしっかりと聞いて理解をしてから望むことが必要と思います。
ここで心配しないでほしいのが、勉強することや理解することは必要ですが、完璧である必要はまったくないということです。
教員や実習病棟によってはレベルの高さを求められるかもしれませんが、個人的にここで必要なのはまずは自身の力で看護過程を展開してみることにあり、指導を経てより良い看護過程を展開できるように勉強することが一番重要と考えます。
失敗はありきです。
失敗しても良いのです。
と言うか、今失敗しておかないとこの先どんどんレベルが高くなっていき、もっともっと求められることも増えていってしまいます。
ここで沢山のことを学んで成長できるかが今後の看護過程をスムーズに展開していくための第一関門と言っても良いでしょう。
教員や実習指導者さんにはぜひ広い温かい心で学生に指導していっていただきたいと思います。
今までに取得した看護援助、特にバイタルサイン測定は復習しておくこと。
初めての受け持ち患者さん、初めての看護過程の展開、だけでなく実はまだ乗り越えなくてならない課題があります。
それは今までに取得した看護援助を実際に自身が今度は主となって実施していくこと、特にバイタルサイン測定に関しては初めて患者さんに実践することになるかと思います。
看護学校でも十分に練習してから実習に臨むことになるかと思いますが、患者さんに〝初めて〟実施することも多い実習になります。
緊張もするでしょうし、なかなか身体が動かない何てこともあるかと思います。
こちらも失敗ありきです。
何度も言いますが、今失敗しておいた方が後々の成長に大きく影響していきます。
演習は経験はあるものの実際の患者さん相手にすることは今回の実習でもほとんどが初めてだと思われます。
いきなり一人で何でもやるといった状況にはならないと思いますが、指導者さんやスタッフさんと一緒に援助をして最終的には主体でできるようにすることが実習目標の一つになると思います。
今までに経験した演習内容をしっかり復習して手順書などがあれば持参して少しでも多く実施できるように準備をしておく必要があると思います。
コミュニケーションも侮るなかれ。
恐らく一番最初の見学実習ではほとんどがせいぜいコミュニケーションを取って終わり、もしくはコミュニケーションもあまり取ることが出来なかった場合もあるかと思います。
受け持ち患者さんを持つとコミュニケーションを積極的にはかりに行かねばなりません。
むしろ学生の実習と言えば患者さんといかに良好な信頼関係を築けるかといった所が鍵になるのでコミュニケーションをしっかりと取っていくことは非常に重要と思います。
元々コミュニケーションを取ることを苦にしていない学生であれば特にスムーズにいくかもしれませんが、あまり得意ではない学生の場合、こちらも大きな試練となります。
初めての受け持ち患者さんの実習ではあまりコミュニケーションが取りにくい、例えば認知症が進んでいる方、失語症がある方などの患者さんを受け持つことは少ないと思いますが、普通に話ができても、所謂初対面の人とすぐに円滑にコミュニケーションが取れるかどうかは、その後の実習がスムーズにいくかどうかの要因にもなります。
なかなかコミュニケーションの練習をすることは難しいかもしれませんが、何かしらの対策や、どんな話をしようなど話をするネタを準備しておくことも良いかもしれません。
カンファレンスのやり方を予習・復習しておくこと。
もしかしたら見学実習の際に簡単なカンファレンスはしたことがあるかもしれません。
受け持ち患者さんを持つと、自身の受け持ち患者さんのことを元にカンファレンスで発表や意見交換などをすることになります。
その際に自身の考えや思いを相手にしっかりと伝えることと、意見交換をすること、実習指導者にも分かりやすく説明することが必要になります。
最初から上手くできるとは思いませんが、こちらも勉強と思って自身の考えていることを伝える練習をしましょう。
事前にどの様な進め方が良いカンファレンスの在り方なのか確認しておくことも良いでしょう。
最初の見学実習に比べて一気にレベルアップする。
見学実習に比べて学生のやることが一気に増えてレベルアップすること必至です。
特に看護過程の展開において問題点を出したり、自身で看護計画を考えて実際に援助すること、バイタルサイン測定、今までの看護援助の実践、コミュニケーション、と多くの課題があります。
しかし、共通して言えることはまだそこまで高いレベルを求められていない、ということです。
みなさんはようやく初めて受け持ち患者さんを持った学生ですので、いきなり高いレベルを求められることは少ないと思います。
そこで舐めてかかると大変な目に遭いますので、ここは沢山失敗して次の成長の糧にするような意識で臨みましょう。
この初めての受け持ち患者さんの実習が終わるといよいよさらにレベルが高くなり、「もう〇〇年生だからできるよね、大丈夫だよね」と言われ始めます。
そうなってから実は出来ませんでした、と言うのは非常に危ういです。
ここでしっかり基礎固めをしていきましょう。